[SEM16-P03] 海底MTアレイデータと独立成分分析を用いたSq成分分離とMTレスポンス推定の試み
キーワード：海底MTアレイ、独立成分分析、地磁気静穏日日変化
海底MT データより電磁気応答関数を推定するに当たり、104～105 秒の周期帯においては、複雑な外部磁場ソース（地磁気静穏日日変化(Sq) や海洋潮汐など）の影響を考慮する必要がある。従来は、時系列データから既知の周波数の変動分の振幅・位相を最小二乗的に推定して差し引くことが行われているが、電磁気応答関数は十分な精度では求まらず、Sq場などの除去が不完全であることが影響していると考えられている（Shimizu et al., 2011）。本研究では、多変量解析手法の一つである独立成分分析を海底MT アレイデータへ適用し、Sq 成分を観測データから分離することを試みる。Sq は、電離層が太陽によって温められる効果を反映した電流系によっているので、アレイデータを各観測点の経度にあわせたローカル時間で揃えることにより位相差を考えなくて良いとすると、最も単純な信号混合モデル（信号が時間遅れ無しに混合する）を適用できる。予備的な解析として、フィリピン海で2005 年11 月から約1 年間同時観測した海底MT データに適用した。推定するソース信号の数や各信号の時間変動の特長のほか、パワースペクトルや、混合係数の緯度・経度との相関を詳細に検討した結果、観測された静穏時日変化を定性的にはよく復元するソース信号を決めることができた。さらにそれらの信号成分を観測された水平磁場成分から取り除いて電磁気応答関数を推定した。本発表では、解析の詳細を示し、Sq場分離の実現可能性と、電磁気応答関数の推定精度向上の可能性を議論する。