日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EE] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GC 固体地球化学

[S-GC45] Volatile Cycles in the Deep Earth - from Subduction Zone to Hot Spot

2018年5月21日(月) 15:30 〜 17:00 A05 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:佐野 有司(東京大学大気海洋研究所海洋地球システム研究系)、羽生 毅(海洋研究開発機構 地球内部物質循環研究分野)、角野 浩史(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系)、座長:佐野 有司角野 浩史

15:45 〜 16:00

[SGC45-07] ピナツボハルツバージャイト捕獲岩中の硫酸塩を含む流体包有物のナトリウムとカリウムの比: 島弧と背弧海盆玄武岩の水流体コンポーネントとの比較

*川本 竜彦1木村 純一2常 青2芳川 雅子1奥野 充3小林 哲夫4 (1.京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設、2.海洋研究開発機構、横須賀、3.福岡大学、4.鹿児島大学)

キーワード: 水流体、マグマ、沈み込み帯、流体包有物

昨年度、JpGUの本セッションでピナツボから採取したハルツバージャイト捕獲岩中の流体包有物に硫酸塩鉱物と硫酸塩イオンが含まれていることを報告した。その後、JAMSTECの木村博士、常博士の協力をあおいで、LA-ICP-MSで流体包有物の分析を行った。分析はNISTのガラスを標準物質として使用し、元素間の比を理解することを目指した。その結果、ナトリウムとカリウムの比を求めることに成功した。その重量比は、 Na0.73K0.27である。この比は海水のそれ(Na0.98K0.02)とは大きく異なっている。また、これまで島弧と背弧海盆玄武岩の研究により、マントルに付け加わったと考えられる水流体コンポーネントの組成と比較を行った。それによると、Stolper and Newman (1995, EPSL)が求めたマリアナ海盆のNa0.82K0.18 や、Grove et al. (2002, CMP)が求めた シャスタ山のNa0.77K0.23 よりもKに富んでいる。また、Le Voyer et al. (2010, J Petrol)がシャスタ山ので求めた 2種類のスラブ由来の流体である水流体 (Na0.87K0.13)とメルトまたは超臨界流体(Na0.70K0.30)の間である。本研究の流体包有物も既往研究のこれらの流体も、それぞれ海水に由来すると考えることが可能であるが、その流体はマントルウェッジでマントルと反応しナトリウムとカリウムの比を変えたと考える。反応の程度は、マリアナ海盆、シャスタ山、ピナツボの順に高くなる可能性がある。これはマントルウェッジの温度を反映しているのだろうか。