日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GL 地質学

[S-GL30] 地球年代学・同位体地球科学

2018年5月23日(水) 15:30 〜 17:00 304 (幕張メッセ国際会議場 3F)

コンビーナ:田上 高広(京都大学大学院理学研究科)、佐野 有司(東京大学大気海洋研究所海洋地球システム研究系)、座長:佐野 有司田上 高広

16:30 〜 16:45

[SGL30-09] 白山火山最新期の白水滝溶岩に対する40Ar/39Ar年代測定の試み

*山﨑 誠子1中野 俊1Miggins Daniel2Koppers Anthony2 (1.国立研究開発法人産業技術総合研究所地質調査総合センター、2.オレゴン州立大学地球海洋大気科学学部)

キーワード:白山火山、40Ar/39Ar年代測定

白山火山は両白山地,白山火山列の中央に位置する活火山である.約420 ka(東野ほか, 1984)に活動を開始し,最新の活動は1659年の山頂付近での噴火である.最新期の山頂部溶岩類については,約40~10 kaのK–Ar年代測定が報告されているが,測定試料の半数は従来法のK–Ar法の手法適用範囲より若く,年代値が得られていない(北原ほか, 2000).御前ヶ峰山頂の北西の溶岩からは約11 kaの熱ルミネッセンス(TL)年代(Hasebe et al., 2016)も報告されている.

白水滝溶岩は白山火山において最も若い溶岩流で,山頂部から東へ谷沿いに約7km流下しており,下位の火砕流堆積物中の炭化木片の14C年代から約2.2kaとされている(北原ほか,2000).本研究では,白水滝溶岩の石基試料について,段階加熱による40Ar/39Ar年代測定を試みた.試料形成時のアルゴン初期値が現在の大気の組成(40A/36Ar比が295.5)と同じとする通常の仮定の上で得られたプラトー年代はマイナスの年代を示したが,逆アイソクロンから求めた初期値(287.9~288.9)を適用すると10.9±1.6 ka(加重平均;n=2)のプラトー年代が得られた.この年代は下位の14C年代から見積もられた年代より古いものの,山頂部のTL年代とよく一致する.従来はプラトー年代には初期値補正を適用されてこなかったが,初期値補正後のプラトーの形状も向上することから補正が有意義であると考える.最新期の活動史の詳細化のためには,より詳細な調査と複数点からの試料の年代測定が必要である.