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[SSS13-04] 静穏化による地震の長期予測の試行~千島・東北・伊豆小笠原沈み込み帯の場合
キーワード:地震活動の静穏化、地震の長期予測、沈み込み帯
本研究では,地震活動の静穏化を用いて,過去に発生した大地震の長期予測を実施し,ランダムに予測した場合よりも有意に良い結果が得られることを示す.手法は以下の通りである.最初に,1964~2014年に発生した実体波マグニチュードmb 5.0以上で震源の深さ60km以浅の地震のリストをInternational Seismological Centerのデータベースからダウンロードする.次に,ダウンロードしたデータから長さ22年間の短いリストを30組作成する.例えば,1964~1985年を1番目のリスト,1965~1986年を2番目のリスト,1966~1987年を3番目のリスト,などとする.これらのリストはZhuang et al. (2002)の方法でデクラスタリングした.次に,1番目のリストを用いて1985年時点における地震活動の静穏化を探索する.研究領域はカムチャツカ半島から千島列島,北海道沖,東北沖,房総沖を通り伊豆小笠原諸島に至る.この領域を0.1×0.1度の空間格子に分割する.ある一つの格子点近傍から10個の震央を取り,時間順に並べ,最後の地震発生時と1番目のリストの終わり(1985年12月31日)との時間差dTを計算する.ただし,格子点から半径100km以内に10個の地震が無い場合は,その格子点は解析及び成績評価から除外する.もしdTが10.8年以上ならば,警報を4年間(1986~1989年)ONにする.警報ONの領域は,この格子点を中心とした半径100kmの円内である.以上の処理を全ての格子点と30組全てのリストに対して行い,1990~2015年の1年毎の予測マップを作成した.Global CMTカタログによると,この期間に研究領域内ではMw7.5以上,80km以浅の地震が10個発生した.その内,M8クラスが3個,M9クラスが1個含まれている.10個の内7個が警報ON領域で発生し,残りの3個が警報OFF領域で発生した.したがって,予知率は7/10=70%である.また,警報ON領域が占める割合,警報分率は24%なので,確率利得は70%/24%=2.9である.警報分率24%の場合,10個中7個の地震が偶然警報ON領域で発生する確率Pは,0.247×(1-0.24)3×10C7=0.24%である.P値が1%より十分小さいので,地震活動の静穏化による長期予測は統計的に有意であると言える.