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[SSS14-17] 疑似点震源モデルによる2004年紀伊半島南東沖地震の本震の強震動シミュレーション
キーワード:2004年紀伊半島南東沖地震、疑似点震源モデル、強震動シミュレーション、フーリエ位相、伝播経路特性
著者はこれまで,強震動を対象とした新しい震源モデルである疑似点震源モデル (Nozu 2012) の種々の地震への適用性を調べてきている.疑似点震源モデルでは,大地震の断層面上に,強震動の生成に関わるサブイベントが(多くの場合複数)存在すると考え,各々のサブイベントの内部における破壊過程の詳細はモデル化せず,各々のサブイベントの破壊に伴う震源スペクトルのみをモデル化し,これがオメガスクエアモデルに従うと仮定する.これに伝播経路特性とサイト増幅特性を乗じることにより対象地点でのフーリエ振幅スペクトルを求め,これと対象地点で得られている中小地震観測記録のフーリエ位相を組み合わせてフーリエ逆変換することで,サブイベントからの地震動の時刻歴波形が求まる.これをすべてのサブイベントに対して足し合わせることで地震動の全体が計算される.したがって,決定すべき震源パラメターはサブイベント1個あたり6個とごく少ない.既往の研究では2004年紀伊半島南東沖地震の前震に対して疑似点震源モデルの適用を行ったが,本研究ではより規模の大きい本震(Mw7.4)への適用を行った.この地震は沈み込むフィリピン海プレートの内部で生じた地震であり(e.g., Park and Mori 2005; Bai et al. 2007),南海トラフのごく近傍で生じている.はじめに経験的グリーン関数を用いた波形インバージョンを実施し,震源断層面上においてすべり量およびすべり速度が大きかったと考えられる領域を特定した上で,当該地震の疑似点震源モデルの作成を行った.設定した震源モデルは,比較的震源に近い地点での波形やスペクトルを良好に再現できるだけでなく,適切な伝播経路モデルと組み合わせれば,大阪平野など比較的遠方の地点での地震動を比較的良好に再現できることがわかった.