[SSS15-P01] 和歌山県日高川層群に発達する巨大分岐断層の滑り挙動の解明
キーワード:巨大分岐断層、流体岩石相互作用、溶融
プレート沈み込み帯に沿って発生する地震のすべり挙動は,岩石の組成や温度・圧力環境に依存すると考えられるため,海溝軸に沿った広範囲での調査が不可欠である.しかし,紀伊半島西岸の付加地質体に発達する断層岩の分析は未だ実施されていない.そこで本研究では和歌山県西部,三尾地域に分布する日高川層群中のメランジユニットに着目し,フィールド調査とラマン分光分析より地質学的背景を明らかにしたうえで,偏光顕微鏡観察,走査型電子顕微鏡観察,粉末XRD分析,主元素・微量元素濃度分析,Sr同位体比分析を実施し,母岩と主断層の微小構造および鉱物学的・地球化学的特徴を調べた.
その結果,母岩中の炭質物のラマン温度計より,埋没深度は5-9 kmであり,高い直線性を持つ断層を境に埋没深度差が確認された.これは,断層が巨大分岐断層であることを示唆する.さらに,この断層では,鉱物粒子の細粒化,葉状構造,溶融の痕跡,鉱物組成・主元素組成・微量元素組成・Sr同位体比組成の有意な変化が確認された.特に,微量元素組成の変化は,溶融と繰り返しの高温状態(>350 °C)での流体–岩石相互作用を示した.加えて,流体-岩石相互作用を伴う地震イベント数が,他の地域より多いことが推測される.これはプレート沈み込み帯で発生する地震のすべり挙動の側方異方性を反映した結果であるといえる.
その結果,母岩中の炭質物のラマン温度計より,埋没深度は5-9 kmであり,高い直線性を持つ断層を境に埋没深度差が確認された.これは,断層が巨大分岐断層であることを示唆する.さらに,この断層では,鉱物粒子の細粒化,葉状構造,溶融の痕跡,鉱物組成・主元素組成・微量元素組成・Sr同位体比組成の有意な変化が確認された.特に,微量元素組成の変化は,溶融と繰り返しの高温状態(>350 °C)での流体–岩石相互作用を示した.加えて,流体-岩石相互作用を伴う地震イベント数が,他の地域より多いことが推測される.これはプレート沈み込み帯で発生する地震のすべり挙動の側方異方性を反映した結果であるといえる.