15:30 〜 15:45
[SVC40-07] UAVによるSfMを用いた伊豆大島三原山中央火口内部の急崖の地形計測
キーワード:SfM、無人航空機、噴出量
1.はじめに
UAVによるSfMで、伊豆大島三原山中央縦穴火口の3D形状を明らかにした。オーバーハング部分の形状の測定にも成功した。さらに、そのデータをもとに、高度ー容積曲線を作成した。次の噴火でマグマが流入して溶岩湖が出来た場合、湖面の高さを見極めることで、累積噴出量を求めることが容易となった。
2.三原山の地形的特徴と噴火の関係
伊豆大島は、国内でも最も活発な活火山のひとつである。中央に位置する三原山は、特に活発で、内部にある直径約300m深さ200~300mの深さがある縦穴火口の底には、1974年頃まで活動的な溶岩湖があった。その後、溶岩湖は崩壊堆積物で埋め立てられた。過去の事例では、新たな噴火はこの縦穴火口の火口壁付近で始まることが多い。1950年噴火の三原新山や、1986年噴火のA火口は、火口壁の一部にできた割れ目が成長し火口となったものである。
一方、この縦穴火口には、バッファー機能がある。噴火の開始直後は噴出したマグマの大半は中央縦穴火口内に蓄積し溶岩湖を出現させる。湖面が上昇して縁に到達するまでは溢れ出ない。1986年噴火は11月15日に開始し、埋め立てるまでに3日を要し、内輪山を埋め尽くしカルデラ床に流れ落ちたのは19日であった。この溶岩流はLA溶岩と呼ばれ、その体積は1000万~1200万m3と求められている。火山防災上、この縦穴火口の容積を求めることは非常に重要である。1986年当時は航空写真測量により、等高線が描かれ、その容積はおよそ1000万m3であった。
3.UAVによる中央縦穴火口の計測
計測は、三原山中央縦穴火口に最も近い、火口展望台を発着点とし、インスパイア2を使用して行った。計測は3回に分けられ、1回目は壁面に直角に撮影、2回目は同一高度を保ったままほぼ真下に向けて撮影、3回目は火口中央に移動させ、周囲を360度見渡すように回転させながらの撮影を、高度を下げながら3回行った。総撮影枚数は約1000枚であった。火口底の一部に噴気があったが、その影響は排除できた。また、火口壁南側のA火口付近と、北側に、オーバーハング部があったが、うまく3Dモデルができた。モデルの作成は、低解像度、中解像度、高解像度で行った。低解像度の場合は、北側のオーバーハング部分で失敗し、中解像度と高解像度では、火口底部分が失敗した。そのため、低解像度と高解像度のモデルを接合して、完成させた。完成したモデルは、GCPをとっていなかったが、方位と傾きに問題はなかった。高度が20m位置が数m程度ずれていたので、既往データを参照し、XYZの補正を行った。
4.HV曲線の作成
計測結果をもとに、赤色立体地図およびH-V曲線を作成した(付図)。その結果、現在の三原山中央縦穴火口底の高度は、497mであること、内輪山を越えて三原山斜面にあふれだす高度は、685mであることがわかった。両者の高度差は188mであるが、火口縁での高度差はこれより小さい。最終的に三原山中央縦穴火口の容積は約1000万m3であることが確認された。この量は、1986年のA火口から流れた溶岩流の体積1200万m3よりもわずかに小さく、1986年の噴火直前の計測値とほぼ同じ値である。なお、この計測は文科省の次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトの課題D1、UAVによる火口計測手法の検討として行われたものである。
補足:なお、伊豆大島に関しては、これまでにも航空レーザ計測が行われている。それらのDEMは1mメッシュであり、位置合わせのために有用であった。また、その性質上オーバーハング部分は表現できない。
UAVによるSfMで、伊豆大島三原山中央縦穴火口の3D形状を明らかにした。オーバーハング部分の形状の測定にも成功した。さらに、そのデータをもとに、高度ー容積曲線を作成した。次の噴火でマグマが流入して溶岩湖が出来た場合、湖面の高さを見極めることで、累積噴出量を求めることが容易となった。
2.三原山の地形的特徴と噴火の関係
伊豆大島は、国内でも最も活発な活火山のひとつである。中央に位置する三原山は、特に活発で、内部にある直径約300m深さ200~300mの深さがある縦穴火口の底には、1974年頃まで活動的な溶岩湖があった。その後、溶岩湖は崩壊堆積物で埋め立てられた。過去の事例では、新たな噴火はこの縦穴火口の火口壁付近で始まることが多い。1950年噴火の三原新山や、1986年噴火のA火口は、火口壁の一部にできた割れ目が成長し火口となったものである。
一方、この縦穴火口には、バッファー機能がある。噴火の開始直後は噴出したマグマの大半は中央縦穴火口内に蓄積し溶岩湖を出現させる。湖面が上昇して縁に到達するまでは溢れ出ない。1986年噴火は11月15日に開始し、埋め立てるまでに3日を要し、内輪山を埋め尽くしカルデラ床に流れ落ちたのは19日であった。この溶岩流はLA溶岩と呼ばれ、その体積は1000万~1200万m3と求められている。火山防災上、この縦穴火口の容積を求めることは非常に重要である。1986年当時は航空写真測量により、等高線が描かれ、その容積はおよそ1000万m3であった。
3.UAVによる中央縦穴火口の計測
計測は、三原山中央縦穴火口に最も近い、火口展望台を発着点とし、インスパイア2を使用して行った。計測は3回に分けられ、1回目は壁面に直角に撮影、2回目は同一高度を保ったままほぼ真下に向けて撮影、3回目は火口中央に移動させ、周囲を360度見渡すように回転させながらの撮影を、高度を下げながら3回行った。総撮影枚数は約1000枚であった。火口底の一部に噴気があったが、その影響は排除できた。また、火口壁南側のA火口付近と、北側に、オーバーハング部があったが、うまく3Dモデルができた。モデルの作成は、低解像度、中解像度、高解像度で行った。低解像度の場合は、北側のオーバーハング部分で失敗し、中解像度と高解像度では、火口底部分が失敗した。そのため、低解像度と高解像度のモデルを接合して、完成させた。完成したモデルは、GCPをとっていなかったが、方位と傾きに問題はなかった。高度が20m位置が数m程度ずれていたので、既往データを参照し、XYZの補正を行った。
4.HV曲線の作成
計測結果をもとに、赤色立体地図およびH-V曲線を作成した(付図)。その結果、現在の三原山中央縦穴火口底の高度は、497mであること、内輪山を越えて三原山斜面にあふれだす高度は、685mであることがわかった。両者の高度差は188mであるが、火口縁での高度差はこれより小さい。最終的に三原山中央縦穴火口の容積は約1000万m3であることが確認された。この量は、1986年のA火口から流れた溶岩流の体積1200万m3よりもわずかに小さく、1986年の噴火直前の計測値とほぼ同じ値である。なお、この計測は文科省の次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトの課題D1、UAVによる火口計測手法の検討として行われたものである。
補足:なお、伊豆大島に関しては、これまでにも航空レーザ計測が行われている。それらのDEMは1mメッシュであり、位置合わせのために有用であった。また、その性質上オーバーハング部分は表現できない。