日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC40] 火山防災の基礎と応用

2018年5月24日(木) 15:30 〜 17:00 A04 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:吉本 充宏(山梨県富士山科学研究所)、宝田 晋治(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、石峯 康浩(鹿児島大学地域防災教育研究センター、共同)、久保 智弘(防災科学技術研究所)、座長:石峯 康浩(鹿児島大学地域防災教育研究センター)、宝田 晋治(産総研地質調査総合センター)、吉本 充宏(山梨県富士山科学研究所)

16:15 〜 16:30

[SVC40-10] 草津白根火山2018年噴火による噴煙を起源にしたグラウンドハッギング流に関する予察的検討

*石峯 康浩1及川 輝樹2吉本 充宏3 (1.鹿児島大学地域防災教育研究センター、2.産業技術総合研究所、3.山梨県富士山科学研究所)

キーワード:草津白根火山、グラウンドハッギング流、懸濁流

草津白根火山の2018年噴火で観測された山の斜面を流れ下る噴煙起源の流れについて検討した結果を報告する。草津白根火山の南側に位置する本白根山では2018年1月23日に水蒸気噴火が起き、小規模な噴煙が発生した。この際、噴煙の一部が山の斜面に沿って山麓方向に流れ下る状況が、直近で運営されていたロープウェイの山頂駅のライブカメラや、スキー客らのビデオカメラ等で捉えられていた。このような地面に沿った流れは単に噴煙が周囲の風に流されて移動した場合にも観測されうるが、噴煙自体の密度が周囲の大気密度よりも大きいことによって生じる圧力差によって運動が駆動された可能性も考えられる。特に、今回、噴火が発生した草津白根火山周辺は、氷点下の状況で大量の新雪が降り積もっており、弾道岩塊の雪上への落下ならびに噴煙の通過に伴って、地面の雪粒が巻き上げられ、火山灰と雪粒が混合した懸濁流体となって、重力流的な性質を増強した可能性についても検証する必要があると思われる。そこで、我々は、当時の噴煙起源のグラウンドハッギング流の運動プロセスを可能な限り詳細に把握するため、映像解析ならびに現地におけるロープウェイの被災状況の調査を通して検討を行った。本発表では、その予察によって得られた結果について報告する。