13:45 〜 14:00
[SVC41-01] 火山噴火による中規模地震の誘発
キーワード:噴火、地震、相互作用
火山噴火に先行して、地震が発生することはよく知られている(例えば、Benoit and McNutt, 1996)。噴火現象に伴う地震活動の活性化は、個々の火山ごとにその時空間変化によって調べられマグマや熱水等の上昇や活動との関連性が明らかになってきている。しかしながら、中規模の地震が発生したり、あるいは逆に、顕著な地震活動がなかったりなど、火山あるいは噴火ごとに違いが見られる。また、噴火に伴う地震活動の平均像も定量的に調べられていない。そこで、本研究では、均質なデータが得られるグローバルな地震及び噴火のデータカタログを用いて、噴火前後の中規模以上の地震の活動を調べたので報告する。
地震のデータは、コロンビア大学が報告する1976年から2015年までのCMT解を利用した。規模別頻度分布がグーテンベルグ・リヒター則に従う、マグニチュード5以上の地震を解析する。火山噴火は、1981年から2010年までのスミソニアン博物館のデータカタログを用いる。べき乗則に従うVEIが2以上の噴火を解析する。その結果、以下のことが明らかとなった。火山から50km以上離れているところでは、噴火による地震活動の顕著な変化は認められない。一方、50kmより近い領域では、噴火発生と同日および発生後数十日間はマグニチュード5から6の地震の発生数が顕著に増える。1ヶ月程度継続した噴火活動の場合、噴火終了日から数年間、地震の発生数が増加する。また、噴火発生の1年ほど前から地震数が増加しているように見える。なお、マグニチュード6以上の地震を対象とし、距離を100kmごとの領域で調べた結果は、顕著な変化は観測されなかった。
以上の結果は、火山噴火と周辺の地震は相互作用を及ぼしていることを強く示唆する。マグニチュードMが7.5を超えるような大地震は、水平距離にして200km程度以内にある火山の噴火を誘発する(Nishimura, 2017)のに対し、噴火では火山から50km以内と狭い領域に限られる。これは噴火の発生に伴う応力変化の及ぼす範囲が小さいことに起因していると推察される。
地震のデータは、コロンビア大学が報告する1976年から2015年までのCMT解を利用した。規模別頻度分布がグーテンベルグ・リヒター則に従う、マグニチュード5以上の地震を解析する。火山噴火は、1981年から2010年までのスミソニアン博物館のデータカタログを用いる。べき乗則に従うVEIが2以上の噴火を解析する。その結果、以下のことが明らかとなった。火山から50km以上離れているところでは、噴火による地震活動の顕著な変化は認められない。一方、50kmより近い領域では、噴火発生と同日および発生後数十日間はマグニチュード5から6の地震の発生数が顕著に増える。1ヶ月程度継続した噴火活動の場合、噴火終了日から数年間、地震の発生数が増加する。また、噴火発生の1年ほど前から地震数が増加しているように見える。なお、マグニチュード6以上の地震を対象とし、距離を100kmごとの領域で調べた結果は、顕著な変化は観測されなかった。
以上の結果は、火山噴火と周辺の地震は相互作用を及ぼしていることを強く示唆する。マグニチュードMが7.5を超えるような大地震は、水平距離にして200km程度以内にある火山の噴火を誘発する(Nishimura, 2017)のに対し、噴火では火山から50km以内と狭い領域に限られる。これは噴火の発生に伴う応力変化の及ぼす範囲が小さいことに起因していると推察される。