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[SVC42-07] AMT調査と土壌ガス拡散放出量測定による那須茶臼岳溶岩ドームの熱水系構造の推定
キーワード:那須火山群、茶臼岳、比抵抗構造、溶岩ドーム、熱水系、土壌ガスフラックス
那須茶臼岳は栃木県北部に位置する安山岩質の成層火山である。約16,000年前に火山活動を開始し、6回のマグマ噴火を伴う大きな活動と、多数の水蒸気爆発を発生させた。特に、1408 - 1410年の最後の活動では、山頂部に溶岩ドームを形成した。溶岩ドーム形成後は、水蒸気爆発を繰り返し発生させ、中でも1881年の水蒸気噴火では、溶岩ドームの西側と北西側に2つの爆裂火口を形成した。その後の水蒸気爆発は、いずれもこれらの火口内で発生しており、活発な噴気が現在も観察される。水蒸気爆発を繰り返し発生させる火山では、その内部で熱水系が発達しており、水蒸気爆発の発生に深く関与している。茶臼岳は1963年の噴火以降、静穏な状態が続いているが、今後、火山活動が活発化した際の活動状況を正しく把握するためには、熱水系の構造の理解を深めておくことが重要になる。
本研究では、熱水系の構造を明らかにするために、2016年に茶臼岳溶岩ドームにおいて、AMT(audio-frequency magnetotellurics)観測による比抵抗構造調査を行った。解析では、本研究で測定したデータに加え、先行研究の5ヶ所のデータを用いて、3次元比抵抗構造解析を行った。インバージョンは、四面体メッシュ有限要素法コードを使用し、地形を考慮した10Ωm一様構造をイニシャルモデルとして解析を行った。また推定された比抵抗構造を解釈するために、2017年に土壌ガス拡散放出量と地中温度の測定を行った。
その結果、山頂のやや北側よりの深部から火山性流体が上昇し、標高1200~1400m付近に熱水溜まりを形成していることがわかった。また、溶岩ドームと同時期に噴出したマグマの残りと思われる高比抵抗体が、爆裂火口の直下に存在していることが示唆された。熱水流体の供給路については、山頂の中央火口で低土壌ガスフラックス・低地中温度が観測されたことから、火道を通ってきた熱水流体は、緻密な溶岩ドームによって、その上昇を妨げられると考えられる。また、低比抵抗領域・高フラックス・高温が観測された場所は、変質帯や噴気地帯(東部、南西部、北部)と一致していた。このことから、流体の上昇経路は、山体崩壊面や溶岩ドームと火砕丘の境界などの構造境界に限定されていると考えられる。
本研究では、熱水系の構造を明らかにするために、2016年に茶臼岳溶岩ドームにおいて、AMT(audio-frequency magnetotellurics)観測による比抵抗構造調査を行った。解析では、本研究で測定したデータに加え、先行研究の5ヶ所のデータを用いて、3次元比抵抗構造解析を行った。インバージョンは、四面体メッシュ有限要素法コードを使用し、地形を考慮した10Ωm一様構造をイニシャルモデルとして解析を行った。また推定された比抵抗構造を解釈するために、2017年に土壌ガス拡散放出量と地中温度の測定を行った。
その結果、山頂のやや北側よりの深部から火山性流体が上昇し、標高1200~1400m付近に熱水溜まりを形成していることがわかった。また、溶岩ドームと同時期に噴出したマグマの残りと思われる高比抵抗体が、爆裂火口の直下に存在していることが示唆された。熱水流体の供給路については、山頂の中央火口で低土壌ガスフラックス・低地中温度が観測されたことから、火道を通ってきた熱水流体は、緻密な溶岩ドームによって、その上昇を妨げられると考えられる。また、低比抵抗領域・高フラックス・高温が観測された場所は、変質帯や噴気地帯(東部、南西部、北部)と一致していた。このことから、流体の上昇経路は、山体崩壊面や溶岩ドームと火砕丘の境界などの構造境界に限定されていると考えられる。