日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 U (ユニオン) » ユニオン

[U-06] 連合は環境・災害にどう向き合っていくのか?

2018年5月23日(水) 13:45 〜 15:15 コンベンションホールA(CH-A) (幕張メッセ国際会議場 2F)

コンビーナ:奥村 晃史(広島大学大学院文学研究科)、川畑 大作(国立研究開発法人産業技術総合研究所地質情報研究部門)、青木 賢人(金沢大学地域創造学類)、座長:奥村 晃史(広島大学)、北 和之(茨城大学)

14:00 〜 14:15

[U06-02] 福島原発事故後7年間の陸域における放射性物質の移行に関する共同研究

*恩田 裕一1 (1.筑波大学アイソトープ環境動態研究センター)

キーワード:福島第一原子力発電所事故、放射性物質、水土砂移動

発表者は,原発事故以前よりCs-137を用いて,土壌移動研究を行っていたため,福島事故後に直ちに災害調査に加わろうと様々な働きかけを行った。直後は,政府・行政も混乱の中にあったが,少しずつ政府調査の手伝いをするようになった。一方で,学術会議の提言をきっかけに,核物理,地球化学と多くの研究者と協働して,行動することができた。また,その際に水文水資源学会の後方支援もあり,行政への働きかけも含め,マッピング調査を行うことに学術コミュニティは大いに寄与した。
 その後放射性物質の移行については,政府調査に加え,科研費新学術領域研究「福島原発事故により放出された放射性核種の環境動態に関する学術的研究」のとりまとめをすることになり,放射性物質の放出から様々な環境中への移行について初期データについて共に考える機会が得られた。
 さて,これからであるが,一般には原発事故は過去のものと考えられており,資金の獲得がきわめて難しくなっている。そういう中,今まで得られた成果を集約し,国際的に発信する,あるいは国際機関(IAEA等)のドキュメントにしっかり記載するという,より科学的・社会的に重要な仕事がまだまだ残っている。災害直後の対応は,うまく機能されさえすればむしろ政府が対応することが望ましい。しかし,現在行うべき,成果の集約と発信こそが,学術コミュニティが真に行うべきであると言うことを申し上げたい。