日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG45] 水圏科学における可視域リモートセンシングとその応用

2019年5月28日(火) 09:00 〜 10:30 103 (1F)

コンビーナ:石坂 丞二(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、虎谷 充浩(東海大学工学部)、作野 裕司(広島大学大学院工学研究科)、平譯 享(北海道大学大学院水産科学研究院)、座長:作野 裕司(広島大学大学院工学研究科)

10:00 〜 10:15

[ACG45-05] 東京湾におけるGCOM-C/SGLIを利用した大気-水中結合アルゴリズムの開発

*中山 大雅1比嘉 紘士1緒方 一紀2 (1.横浜国立大学、2.宇宙航空研究開発機構)

キーワード:大気補正、G-COMC、東京湾

2017年12月末に打ち上げられたGCOM-C/SGLIは,同地点を2-3日に1度の割合で観測すると共に、沿岸域を250m空間分解能で観測する優れた時空間分解能を有しており、面積が小さく、環境変動の大きい沿岸域のモニタリングに期待されている。しかしながら、沿岸域は水中の光環境が複雑に変化するため、高精度な水質推定が非常に難しい状況である。伝統的な海色大気補正アルゴリズムでは近赤外域の水中射出光を0と仮定して大気中散乱光を推定した後に可視域の水中射出光を求めるが、沿岸域の様に水中で有機物や無機物が著しく増加する場合は近赤外域の水中射出光が増大し仮定が成り立たなくなるため、エアロゾル反射率を過剰推定し可視域海水反射率の推定に誤りが生じる。これを改善するために反復的手法により近赤外域の水中射出光を推定しながらエアロゾル散乱光を推定する方法があり、水中モデルが海域に対して適当であれば高精度な海水反射率の推定が可能となる。SGLIは外洋域等の低懸濁海域においてこの反復的手法を用いており、沿岸域等の高懸濁海域では水中モデルを用いずに短波長赤外チャンネルから大気散乱光を推定し海水反射率を求めているが、その精度は高懸濁海域ほど良くはない。

そこで本研究では、有機物が卓越する東京湾を対象として大気補正モデルと沿岸域に適した水中モデルを組み合わせたアルゴリズムの開発を試みた。これは大気補正の段階において使用される水中モデルを、東京湾のSIOPs(Specific inherent optical properties)の実測値に基づき作成されたBio-Opticalモデルに組み替え、Chl-a(Chlorophyll-a)、CDOM(Color dissolved organic matter)、NAP(Non algal particles)に基づきエアロゾルモデル選択及び各波長の反射率を繰り返し計算により推定する手法となっている。この結果、通常のSGLIの大気補正と比較して、高精度にRrs及びChl-aを推定することが可能となった。