日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS20] 全球海洋観測システムによる研究成果と観測システム最適化

2019年5月28日(火) 09:00 〜 10:30 106 (1F)

コンビーナ:細田 滋毅(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、増田 周平(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、藤井 陽介(気象庁気象研究所)、藤木 徹一(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、座長:細田 滋毅(国立研究開発法人海洋研究開発機構)

09:45 〜 10:00

[AOS20-04] 過去40年間にわたる亜熱帯モード水の物理・生物地球化学的10年規模変動

*笹野 大輔1岡 英太郎2山田 広大2延与 和敬1中野 俊也1石井 雅男3 (1.気象庁、2.東京大学大気海洋研究所、3.気象研究所)

キーワード:亜熱帯モード水、黒潮続流、十年規模変動、分野横断

西部北太平洋を横断する東経137度定線での半世紀にわたる観測から、遠隔強制による亜熱帯モード水(STMW)の物理・生物地球化学的10年規模変動が過去40年間にわたり起きていたことを明らかにした。太平洋十年規模振動(PDO)のwarm phaseから3-4年遅れで起きる黒潮続流の不安定期には、続流周辺における活発な渦活動が続流南の海域におけるSTMWの形成量と塩分をともに低下させる。日本の南の東経137度定線では、続流南側の形成域からのSTMWの西向き移流の減少により、STMWの断面積、溶存酸素、pH、アラドナイト飽和度が減少し、栄養塩と溶存無機炭素が増加する。その中でも特に炭酸系パラメタの変化は、それらの長期トレンドを加速するものである。逆に黒潮続流の安定期には、これらの変化は逆転し、海洋酸性化は減速する。とりわけ、2010年以降続いている現在の黒潮安定期では、酸性化のハイエイタスが生じている。