[BCG07-P11] 新原生代変火山岩類からなるエジプト・中部東砂漠のエル・ダバー地域の層序/地質構造の復元
キーワード:新原生代、島弧、横ずれ堆積盆、縞状鉄鉱層
エジプト,東砂漠地域には縞状鉄鉱層を含む新原生代の火山岩―堆積岩層序を持つ地質帯が広がっている.一般的に東砂漠地域では広い範囲で,変形や変成作用が強く,初期段階の層序/地質構造の復元が進んでいない.我々は,変形変成が低く,縞状鉄鉱層の層序が比較的残っている中部東砂漠地域のEl-Dabbah地域について,地質図作成,年代測定により地質構造/地質層序 の復元を行った.本地域は,El-Dabbah層,Atsham層,Hammamat Groupからなり,それぞれ不整合で接する地質帯である.El-Dabbah層は,島弧起源の火山岩―砕屑岩層からなり,厚い枕状溶岩や火山砕屑岩,部分的に縞状鉄鉱層を含む地層である.Atsham層はモラッセタイプの礫岩を多く含む陸源堆積物である.Hammamat Groupは東砂漠地域に広く分布するプルアパート堆積盆であり,陸生層の赤色岩や湖起源の堆積物からなる.El-Dabbah地域ではこの不整合境界が広くみられており,不整合以前の火山岩・堆積岩層の地質構造が記録されている.SHRIMPによる3カ所の貫入年代(granite at ca.638.1±2.9 Ma and a rhyodacite at 659.6±3.0 Ma)およびHammamat Groupの砂岩中の砕屑性ジルコン年代が明らかになり,地質構造とともに,3回の変動ステージを明らかにした.D1: 700–680 Ma: 島弧付加時期;D2: 650–640 Ma:横ずれに伴うAtsham 層堆積とそれに伴う横ずれ運動および花崗岩類の貫入(大陸形成造山期); D3: 638–600~ Ma:プルアパート堆積盆形成と造山運動の終始期.