日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG34] 衛星による地球環境観測

2019年5月30日(木) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:沖 理子(宇宙航空研究開発機構)、本多 嘉明(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、高薮 縁(東京大学 大気海洋研究所)、松永 恒雄(国立環境研究所地球環境研究センター/衛星観測センター)

[ACG34-P10] 衛星による高頻度降雨推定データとAPHRODITE-2地上雨量計観測データの相互比較

*広瀬 民志1豊嶋 紘一1樋口 篤志1谷田貝 亜紀代2安富 奈津子3 (1.千葉大学環境リモートセンシング研究センター、2.弘前大学、3.京都大学防災研究所)

キーワード:降水、衛星、APHRODITE

APHRODITEは各国の地上雨量計による日降水観測データを収集し、適切な品質管理を行った上でグリッドデータに変換するという処理をおこなっている。APHRODITEは1960年代から現在までの長期間データを保持しており、気候変動による極端降水現象の特性の変化などの解析を主眼としているが、雨量計観測は国や地域によって日界(日降水量24時間の区切り)が異なるという問題が存在する。本研究では各観測点の日界を推定するために、静止気象衛星(GEO)を用いて全球の降雨確率を推定可能なプロダクトであるRain Potential Map(RPM)を開発した(Hirose et al., 2016, JMSJ)。このRPMと、マイクロ波衛星と静止気象衛星を複合させた全球衛星降雨観測データであるGSMaP、CMORPHの3つのデータを用いてAPHRODITE日降水観測データの日界を推定し、それらを補正するための処理を行った。

上記の衛星降雨観測データは1時間毎で全球の降雨変動の情報を取得化可能であるため、1時間ずつ平均区間をずらした日平均データを作成可能である。この平均区間の異なる1年間の衛星日降水観測時系列データと、APHRODITE日降水観測時系列データとの相関を取ることで、相関係数が最も高くなる時刻から各国の日界の値を推定した。すでに日界の真値が判明している地域で衛星による日界の推定精度を検証し、本手法の信頼性が高いことを確かめた。さらに衛星降雨観測データの1時間値を用いて重みづけを行いAPHRODITE日降水量から疑似的に1時間値を求めることで、任意の日界でAPHRODITE日降水量を計算し直す手法を開発した。この手法によりAPHRODITE日降水量観測から国ごとの日界のズレを取り除くことで、より詳細な極端降水現象の移り変わりの解析が可能になることが期待される。日界補正済みの新しいAPHRODITEデータが近日公開予定である。

当日はさらに日本の河川局による山岳域の雨量計観測データを用いた解析結果も紹介する予定である。日本のようなレーダーアメダスによる観測網が発展している国でも、山岳域などでは観測点密度が不足している場所が存在することがAPHRODITEプロジェクトによる精度検証から判明している。そのような場所で観測点密度を増やし地上雨量計観測の精度を向上させることは、衛星降雨観測と地上雨量計観測の比較による精度検証のより高精度化させることにつながると期待できる。