[HCG33-P05] 陸棲藍藻 Nostoc sp. HK-01の乾燥過程で特異的に見出される高分子物質(群)
キーワード:シアノバクテリア、乾燥耐性、ストレスタンパク質
【背景・目的】 陸棲藍藻 Nostoc sp. HK-01 は、兵庫県の土壌で採取された Nostoc commune の藻塊から、乾燥耐性を指標に Katoh1) らにより単離された株で、藻塊を乾燥後にデシケーター内の環境で8年間以上放置した後も、液体培養で蘇生し乾燥前と同様の増殖を示すことが確認されている2)。また、100ºCを超える温度に対して耐性を示すことも報告されている3)。Nostoc sp. HK-01の生活環の詳細が既に報告されている中で、前述の耐性を示す細胞は、アキネートと呼ばれる休眠細胞のみであることが示されている3,4)。乾燥状態の藻体の高い熱耐性が示されている一方で、湿潤状態から乾燥状態に移行する過程の熱環境耐性や関連する物質群の詳細はまだわかっていない。本菌株は有人宇宙活動における食資源としての利用も期待されており2)、そのために、乾燥耐性の獲得に関わる遺伝子群や長期培養における代謝の情報を得ることは重要である。本発表は、Nostoc sp. HK-01 株の乾燥耐性を得る過程に関与する物質のうち、特に高分子物質(群)を見出すことを目的として行った。
【方法】 Nostoc sp. HK-01 の藻体をBG-11の液体培養を行った後、藻体を採取し、デシケーター内で十分に乾燥させた。この過程で経時的に藻体を採取し、超音波で破砕した。破砕後、細胞抽出液をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、細胞タンパク質を解析した。
【結果および考察】 湿潤状態の藻体を、高温環境下で急速に乾燥させた場合と、大気中で自然に乾燥させた場合、その後の細胞蘇生率に相違が認められた。この蘇生率の相違は、乾燥過程で得られる乾燥耐性に関与していると考えられた。SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供して解析した結果、乾燥過程で経時的に発現量が増加する複数のタンパク質の存在を確認した。これらのタンパク質は Nostoc sp. HK-01 株の乾燥耐性に関与している可能性がある。これらの乾燥耐性に関与する高分子物質(タンパク質)に関する情報は、閉鎖生態系における本菌株の食資源利用のための有益な情報となるだろう。
【参考文献】
1. Katoh, H. et al., Microbes and environments 18, 82-88, 2003.
2. Kimura, Y. et al., Biological Sciences in Space 29, 24-31, 2015.
3. Kimura, S. et al., Biological Sciences in Space 29, 12-18, 2015.
4. Kimura, S. et al., American Journal of Plant Sciences 8, 2695-2711, 2017.
【方法】 Nostoc sp. HK-01 の藻体をBG-11の液体培養を行った後、藻体を採取し、デシケーター内で十分に乾燥させた。この過程で経時的に藻体を採取し、超音波で破砕した。破砕後、細胞抽出液をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、細胞タンパク質を解析した。
【結果および考察】 湿潤状態の藻体を、高温環境下で急速に乾燥させた場合と、大気中で自然に乾燥させた場合、その後の細胞蘇生率に相違が認められた。この蘇生率の相違は、乾燥過程で得られる乾燥耐性に関与していると考えられた。SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供して解析した結果、乾燥過程で経時的に発現量が増加する複数のタンパク質の存在を確認した。これらのタンパク質は Nostoc sp. HK-01 株の乾燥耐性に関与している可能性がある。これらの乾燥耐性に関与する高分子物質(タンパク質)に関する情報は、閉鎖生態系における本菌株の食資源利用のための有益な情報となるだろう。
【参考文献】
1. Katoh, H. et al., Microbes and environments 18, 82-88, 2003.
2. Kimura, Y. et al., Biological Sciences in Space 29, 24-31, 2015.
3. Kimura, S. et al., Biological Sciences in Space 29, 12-18, 2015.
4. Kimura, S. et al., American Journal of Plant Sciences 8, 2695-2711, 2017.