[MIS04-P02] Swarm衛星を用いた地震に先行する磁場異常および電離圏異常に関する研究
地震は地殻内の応力解放によって引き起こされ、しばしば人間生活に重大な被害をもたらす。地震の短期予測は未だ実現されていないが、近年地震活動に関連する可能性のある電磁気現象が多数報告されてきている。こうした現象の観測手法のひとつである衛星観測には、地上観測と異なり連続した時間の観測ができない一方、全球から大地震関連のデータを短時間で集積できるという利点がある。2013年11月22日に欧州宇宙機関によって運用開始されたSwarm衛星は、A,B,Cの三機の衛星による同時観測を行っており衛星観測の難点である時間分解能の悪さを補うことができる。またSwarmデータにより過去の地震に先行する異常が報告されており、本研究ではその検証のためSwarm AのVFM磁場ベクトルデータ(Y成分)、Langmuir probeのプラズマ電子密度データを用い、インドネシアで2018年に発生したロンボク島地震に関し、2018年5月28日~9月27日の期間で震央から1000km四方の範囲内における異常の解析を行った。解析の結果、2018年ロンボク島地震に関連して、磁場Y成分では地震1~2週間前に正の異常、電子密度では1週間~1ヵ月前に負の異常が多く発生している傾向がみられた。また地震の発生していない2016年および2017年の同期間における解析結果と比較すると、2018年でのみ6月末から7月にかけて短期間で異常日数の急激な増加がみられ、地震との関連性が示唆される。