[MIS24-P05] セイルドローンによる日本南岸黒潮大蛇行流路の横断観測
★招待講演
キーワード:黒潮、大蛇行流路、セイルドローン
日本南岸の黒潮は,2017年9月以降,大蛇行流路を取っている.過去のほとんどの大蛇行流路とは異なり,今回の大蛇行流路は流路が不安定である点で特異である (Nagano et al., 2018).この特異性は,黒潮の流速構造に起因すると予想される.この大蛇行流路の力学機構を理解するためには,ポテンシャル渦度に基づく解析が必要であり,空間的に高い解像度の流速ベクトル場の観測が必須である.セイルドローンは,長さ7m,高さ5mの自律型無人艇であり,数ヵ月の洋上観測を衛星通信による制御で行う観測プラットフォームである.取得したデータは,衛星通信を通して我々のもとに転送される.HYCOMリアルタイムナウキャストデータを用いて黒潮の位置をモニターすることで,不安定タイプ大蛇行流路のような変動性に富む海流の観測を行うこともできる.海面から深度約100mまでの流速ベクトルをセイルドローンに取り付けた300kHz音響式ドップラー流速プロファイラー(ADCP)で1分毎に取得した.さらに,水温と塩分,および気象要素(風向風速,湿度,気温等)もセイルドローンに取り付けたセンサーで計測した.ナウキャスト表層流速マップをもとに,黒潮の大まかな場所を特定し,5回の横断観測ADCP流速データが得られた.このデータを用いて,大蛇行流路の力学機構を議論する.