日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-08] ジオパークで地球活動をイメージする -ジオ多様性の大切さを知ろう-

2019年5月26日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、市橋 弥生(佐渡ジオパーク推進協議会)、小原 北士(Mine秋吉台ジオパーク推進協議会)、大野 希一(島原半島ジオパーク協議会事務局)

[O08-P09] 磐梯山ジオパークにおけるジオサイトの再検討

*竹谷 陽二郎1佐藤 公2蓮岡 真1 (1.磐梯山ジオパーク協議会、2.磐梯山噴火記念館)

キーワード:磐梯山ジオパーク、ジオサイト、大塩温泉

磐梯山ジオパークは日本ジオパークに認定されて7年を経過した.現在,エリア内の既存のジオサイトが当ジオパークにとって妥当かどうかの見直し,および新たなジオサイトの掘り起こしの作業を,ガイドの人たちと共に進めている.そして,その結果に基づいた公開ジオサイトの追加と削除,重要なジオサイトの持続可能な保全,および新たなテーマによるジオツアーを計画している.
磐梯山ジオパークのジオサイトは,当ジオパークのメインテーマである「磐梯火山の誕生と変遷,特に山体崩壊と岩なだれがもたらした大規模な地形及び自然環境の変化について理解を深めるとともに,磐梯山が人々の生活や歴史そして独自の文化の形成に与えた影響について学ぶこと」に基づき,そのテーマに沿ったものを中心にこれまで選定してきた.
当ジオパークの北西部にある北塩原村大塩地域は,新第三紀中新世のグリーンタフを主とする地層で構成されており,その時代の地史を知る上での重要な露頭がある.しかし,それらは磐梯火山の形成や噴火活動とは直接関係がないため,これまでジオサイトやジオツアーの対象外であった.
しかしながら,第四紀火山の基盤を成す新第三系の地層の地史を学ぶことにより,日本海誕生から大地の隆起を経て第四紀火山の形成に到る,一連のプレート運動を理解する重要な機会を得ることができる.さらに,大塩地域には多くの利用客が訪れる大塩温泉がある.その温泉水から精製される塩は,江戸時代には会津藩に納める重要な地域資源であり,現在でも「山塩」として販売されている.「山塩」はグリーンタフ時代における海水を起源とするものであり,大地の遺産が地域の歴史や産業に果たした役割を,ジオツアーを通して展開できる.以上の理由により,当ジオパークにとって,大塩地域におけるジオサイトの新設が魅力的で意義あるものと考えられる.
大塩地域で新たに選定したジオサイトを巡るツアーを,2019年の「地質の日ジオツアー」として試行し,その効果,意義を検証したい.そしてその成果を,訪問者に対するストーリーをもったジオツアーの提供へと繋げていきたいと考える.