[PCG21-P16] DESTINY+搭載小惑星追尾機構の開発:概念設計およびBBMを用いた性能試験
キーワード:DESTINY+、カメラ、フライバイ、追尾機構
深宇宙探査技術実証機DESTINY+(Demonstration and Experiment of Space Technology for Interplanetary voYage, Phaethon fLyby and dUst Science)はイプシロンロケットによる公募型小型ミッションとして提案され、2023年の打ち上げを目指して現在フェーズA検討が進められている。このミッションではふたご座流星群の母天体と考えられている小惑星(3200)ファエトンを近接フライバイし、地表面の高解像度撮像を行う予定である。探査機には2種類のカメラ、可視光の単色バンドで高解像度撮像を行う望遠カメラTCAP(Telescopic Camera for Phaethon)、と低空間解像度で可視から近赤外のマルチバンド撮像を行うカメラMCAP(Multiband Camera for Phaethon)の搭載が予定されている。探査機で小惑星まで500 kmの位置に最接近し、最接近時およそ40秒前から9秒後までの間にTCAPによって最高空間解像度3.5 m/pxで1秒間隔の撮像を行うことを計画している。カメラの撮像方向は通常は探査機本体の姿勢制御で決められるが、DESTINY+では小惑星ファエトンの特異な軌道のため、相対速度30 – 40 km/sという非常に速いフライバイを行う必要があり、探査機本体の姿勢制御だけではTCAPの撮像画像がぶれてしまう。そのため、高速フライバイ中に自律的に小惑星を視野内に収め続け、かつぶれのない高解像度画像を取得するような小惑星追尾機構がTCAPに要求される。そこで私たちはTCAPの追尾機構の概念検討、および追尾機構を適切に駆動するための制御アルゴリズムを検討した。さらに概念検討で得られたデザインを実証するため、追尾機構において中心的な機能を果たす駆動鏡のBBMを試作した。BBMは鏡、ステッピングモータ、減速機およびそれらを制御するFPGA基板から構成される。本発表では小惑星追尾機構の概念検討の結果と、駆動鏡BBMの試作状況および初期性能試験の結果を報告する。