日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG30] 内陸地震と原子力発電所の安全性

2019年5月26日(日) 15:30 〜 17:00 104 (1F)

コンビーナ:末次 大輔(海洋研究開発機構 地球深部ダイナミクス研究分野)、金嶋 聰(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、鷺谷 威(名古屋大学減災連携研究センター)、寿楽 浩太(東京電機大学工学部人間科学系列)、座長:末次 大輔寿楽 浩太

16:00 〜 16:15

[HCG30-03] 断層が長いほど地震動は大きいのか? - 地表断層と潜在断層による地震動-

*香川 敬生1 (1.鳥取大学大学院工学研究科)

キーワード:活断層、地震動、地表断層地震、潜在断層地震

地表地震断層を生じる地震の規模は一般に大きく被害が広範囲に及ぶが,同じ規模であれば地表地震断層を生じない地震の方が地震動は大きいことが指摘されている.2018年に発生した島根県西部,大阪府北部,北海道胆振東部の被害地震は周辺活断層で想定される地震よりも規模は小さく,いずれも地表地震断層を伴わなかったものの,大きな被害をもたらしたことは記憶に新しい.
構造物への設計入力地震動の想定では,周辺の活断層帯を対象に,地震規模をできるだけ大きく見積もる保守的な設定がおこなわれる.地震規模を大きくすると放射される地震動の卓越周期は長周期化し,一方で短周期の地震動は規模に対してそれほど大きくはならない.短周期の地震動は,地震規模よりも断層からの距離による影響が大きい.このため,活断層帯で想定されるよりもひと回り小さい潜在断層地震が,想定断層帯よりも対象地点に近い場所で発生した場合,周期帯域によっては,活断層帯で想定される地震よりも影響が大きくなる場合もあり得る.また,そのような地震は活断層帯で想定される大地震よりも高い頻度で発生している可能性があるため,地域によっては構造物設計にあたっての重要な課題となり得る.これらについて,データに基づいて紹介したい.