10:45 〜 11:00
[HGM04-06] ウズベキスタン南部,サマルカンドからバーミヤーンに至る古代道路ルート上にある「鉄門」の地形と洪水特性
キーワード:鉄門、狭窄部、洪水、河川堆積物、スルハンダリヤ、ウズベキスタン
シルクロードの交易都市として栄えたサマルカンドから,シルクロードから分岐してアムダリヤの渡河点であるテルメズを経由して,バーミヤーンに至る古代道路のルート上に「鉄門」と呼ばれる峡谷がある.天山山脈の西方延長のヒッサール山脈の主稜線から東のスルハンダリヤ側へ数km下ったところにあるケスタの稜線を刻むおよそ2kmの狭窄部である.峡谷の最少幅はおよそ10m,両岸の谷壁斜面は崖となっており比高が200m近くある.7世紀前半にインドへ向かった玄奘もこの鉄門を通ったと考えられている.
峡谷の中には中径が50cmを超える土石流堆積物,層理が明瞭でより円磨され細粒な洪水堆積物が分布しており,現在の谷底とそのトップの比高は数mである.また,現谷底は平坦な埋積谷あるいはその上に大きな礫からなるロウブ状地形が分布している.谷壁斜面や堆積面上には植生が見られるものの,谷底および側壁にはわずかな低木を除いてほとんど植生は見られない.以上のことから,鉄門の区間の峡谷部では大きな出水で土石流または洪水流により土砂が運ばれて谷を埋め,それが侵食されるという現象が繰り返氏生じていると考えられる.谷底における土砂移動は毎年生じており,谷を数m以上埋積するようなイベントは数年に一度生じると推定される.サマルカンドやテルメズでは,主として10月から4月まで降水があり,寒候期には最低気温の月平均が氷点下になることから,冬季の積雪が融解する3月~4月の降雨イベントで洪水が発生すると考えられる.
このような洪水リスクのあるところに重要な街道が造られたのは,この場所が重要なチェックポイントとなっていたことと関係がある.この地域の尾根上にあったと考えられる要塞から,時々通行止めになる道路の人の出入りを監視するには好都合であったことが推察される.
峡谷の中には中径が50cmを超える土石流堆積物,層理が明瞭でより円磨され細粒な洪水堆積物が分布しており,現在の谷底とそのトップの比高は数mである.また,現谷底は平坦な埋積谷あるいはその上に大きな礫からなるロウブ状地形が分布している.谷壁斜面や堆積面上には植生が見られるものの,谷底および側壁にはわずかな低木を除いてほとんど植生は見られない.以上のことから,鉄門の区間の峡谷部では大きな出水で土石流または洪水流により土砂が運ばれて谷を埋め,それが侵食されるという現象が繰り返氏生じていると考えられる.谷底における土砂移動は毎年生じており,谷を数m以上埋積するようなイベントは数年に一度生じると推定される.サマルカンドやテルメズでは,主として10月から4月まで降水があり,寒候期には最低気温の月平均が氷点下になることから,冬季の積雪が融解する3月~4月の降雨イベントで洪水が発生すると考えられる.
このような洪水リスクのあるところに重要な街道が造られたのは,この場所が重要なチェックポイントとなっていたことと関係がある.この地域の尾根上にあったと考えられる要塞から,時々通行止めになる道路の人の出入りを監視するには好都合であったことが推察される.