09:15 〜 09:30
[HTT22-02] 3次元常時微動トモグラフィの開発とその適用事例
キーワード:微動、S波速度、3次元探査
従来の微動アレイ探査は、微動の到来方向に偏りがあった場合でも適切な位相速度を推定できるように、同心円上とその中心あるいは正三角形の頂点とその重心に受振点を設けて様々な方位からの微動を計測し、主に1次元のS波速度構造を推定する目的で利用されてきた。我々は、このような微動アレイ探査を2次元/3次元に拡張した常時微動トモグラフィを開発し、適用実験を実施してきた。同手法は、GPS、A/Dコンバーター、バッテリー,SDカード等が全て内蔵された独立型の地震探査装置を用いることで、ケーブルの取り回しの必要がなく、設置場所の制約もあまりうけずに、簡便に計測できるのが特長である。また、一度に数10台の受振点を面的に設置することで、微動の到来方向の偏りの影響も受けることも少ない。さらに、受振器間隔が等しいデータを多数の地震計ペアで同時に取得できるため、スタッキング効果によって、短い計測時間でも品質の高いデータを取得することができるという利点もある。
解析については、表面波探査のCMPCC解析を改良したCMP-SPAC法を用いる。面的に配置した受振器の全ての組み合わせに対してSPAC法により空間自己相関係数を計算し、CMPによるビンニングとソーティングを行って、CMP毎にコヒーレンス波形を作成する。このコヒーレンス波形を、周波数と位相速度を仮定して得られるベッセル関数と比較することにより、周波数毎の位相速度を決定する。周波数-位相速度の関係から分散曲線を読み取った後は、表面波探査と同様、非線形最小二乗法に基づく逆解析によってCMP毎の1次元S波速度構造を求めることができる。全てのCMPにおける1次元S波速度構造を空間補間することで、簡便に3次元S波速度構造を求めることができる。この方法は、3次元探査であっても計算量は2次元の表面波探査と大きく変わらないため、比較的容易に3次元のS波速度構造を得ることができる。
これまでの現場適用実験の結果は既存の地質情報や物理探査結果と概ね整合しており、期待通りの結果が得られている。ただし、多数の受振器を配置した場合でも、測定範囲の端部では受振器ペアの数や方向が限定されることから、深部の速度推定精度が悪くなることや、微動の偏りの影響も受けやすいこともわかってきた。しかし、これらは通常の物理探査と同様、調査範囲をあらかじめ広めに取っておくことで対応可能である。また、微動のみを利用する場合、波長の短い振動が少なく受振器間隔を短くしても浅部の構造が十分に探査できない可能性もあるが、受振器アレイの外側で人工的な振動を与えることで、浅部の感度も向上し、浅部探査にも適用可能であることもわかった。
解析については、表面波探査のCMPCC解析を改良したCMP-SPAC法を用いる。面的に配置した受振器の全ての組み合わせに対してSPAC法により空間自己相関係数を計算し、CMPによるビンニングとソーティングを行って、CMP毎にコヒーレンス波形を作成する。このコヒーレンス波形を、周波数と位相速度を仮定して得られるベッセル関数と比較することにより、周波数毎の位相速度を決定する。周波数-位相速度の関係から分散曲線を読み取った後は、表面波探査と同様、非線形最小二乗法に基づく逆解析によってCMP毎の1次元S波速度構造を求めることができる。全てのCMPにおける1次元S波速度構造を空間補間することで、簡便に3次元S波速度構造を求めることができる。この方法は、3次元探査であっても計算量は2次元の表面波探査と大きく変わらないため、比較的容易に3次元のS波速度構造を得ることができる。
これまでの現場適用実験の結果は既存の地質情報や物理探査結果と概ね整合しており、期待通りの結果が得られている。ただし、多数の受振器を配置した場合でも、測定範囲の端部では受振器ペアの数や方向が限定されることから、深部の速度推定精度が悪くなることや、微動の偏りの影響も受けやすいこともわかってきた。しかし、これらは通常の物理探査と同様、調査範囲をあらかじめ広めに取っておくことで対応可能である。また、微動のみを利用する場合、波長の短い振動が少なく受振器間隔を短くしても浅部の構造が十分に探査できない可能性もあるが、受振器アレイの外側で人工的な振動を与えることで、浅部の感度も向上し、浅部探査にも適用可能であることもわかった。