日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT23] 地理情報システムと地図・空間表現

2019年5月30日(木) 10:45 〜 12:15 301B (3F)

コンビーナ:小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、田中 一成(大阪工業大学工学部都市デザイン工学科)、中村 和彦(東京大学)、座長:小荒井 衛(茨城大学)、田中 一成(大阪工業大学)

10:45 〜 11:00

[HTT23-01] (Web)GISとRによるPM2.5およびオキシダント濃度解析

★招待講演

*山川 純次1 (1.岡山大学大学院自然科学研究科)

キーワード:GIS、jSTAT MAP、クリギング、FOSS4G、PM2.5、オキシダント

岡山県岡山市におけるPM2.5およびオキシダントの年平均濃度分布を地理統計学的手法で推定し(Web)GISで検討した。

環境物質の濃度観測データは国立環境研究所のウェブサイトから取得した。PM2.5の対象年度は2015年,オキシダントの対象年度は2006年である。解析に必要な地理情報データは政府系オープン・データであるJPGIS(国土地理院, 2018)を使用した。地理統計解析にはGNU R (R core team, 2018)を使用した。GISはFOSS4G (Open Source Geospatial Foundation)のOn-premise型GISであるQGIS (QGIS Development Team, 2018)を使用し,WebGISはjSTAT MAP(総務省統計局, 2019)を使用した。

まず環境物質の濃度観測データに関するバリオグラムを検討して空間依存性を推定し,これに基づいてクリギング法により対象地域全体の濃度分布を推定した。次にGISを用いて推定濃度データを他の地理情報データと併せて検討した。またQGISで濃度推定の確かさを表現する手法を検討した。さらに濃度推定データをjSTAT MAPで解析するために必要な座標変換について検討した。

解析の結果,岡山市におけるPM2.5とオキシダントの年平均濃度分布が推定された。また表現手法の検討によりPM2.5とオキシダントそれぞれの推定値の変動係数の分布をGISとWebGISによって定性的に把握することが可能となった。地理統計解析に使用した直角座標系からjSTAT MAPで使用する座標値である地域メッシュコードへの変換で発生する誤差は検討を要する。

GISは地球環境データと地理情報データを併せた解析と地図表現に有効である。またWebGISはこれらの検討をWebブラウザのみで実行可能にしつつある。地球惑星科学の研究でも一層の活用が期待される。