16:30 〜 16:45
[MGI33-09] パーシステントホモロジーを用いた3次元き裂ネットワークの構造評価
キーワード:位相幾何学、データサイエンス、メッシュ構造、3Dプリンター
位相幾何学に由来するパーシステントホモロジー(PH)は、画像や3D データに表れる“穴”、すなわち連結性の情報を抽出することで、複雑な構造を定量評価できる方法である。き裂性岩体ではき裂同士の連結性が岩体の流れを支配しており、 PHにより構造と流れの関係を評価できると期待できる。
PHによる画像解析の一例を Fig.1に示す。ここでは中央の画像(original)を解析することを考える。黒いピクセルを減らす過程を左方向に、増やす過程を右方向に表し、上の数字が黒いピクセルの増減量を示している。PHでは、穴(ピクセルで囲われた領域)が現れることをBirth、穴が潰れることをDeathと呼んでいる。規則的なメッシュ構造をき裂分布としてPHによって解析した場合、Birthがき裂開口幅、Deathがき裂間隔、BirthとDeathの組み合わせの数がマトリックスブロックの数を表すことがわかった。
本研究では、岩石のき裂構造と数値シミュレーション結果のき裂画像をPHにより定量評価した。数値シミュレーションでは、カンラン石が加水反応によって蛇紋石となる膨張過程を考慮し、離散要素法と有限差分法により岩石内の流体流動とき裂進展を計算した[1]。シミュレーションから得られた画像と天然の岩石の薄片画像をPHを用いて解析し、得られたPHパラメータをプロットしたものをFig. 2に示す。ここで、横軸はBirthとDeathの組み合わせの数、縦軸はDeathの最大値を示しており、それぞれ、マトリックスブロックの数、最大のき裂間隔を表していると考えることができる。Fig.2より、実際のき裂画像の構造に近い数値計算結果を選出し、その時の流動条件が蛇紋岩のき裂構造の形成条件であると推測した。推測した結果は、 岩石学者の経験や感覚によって選定した結果と一致している(Okamoto and Shimizu, 2016)。PHを用いて経過時間、流動条件などが異なるき裂構造を定量的に評価・比較し、き裂の生成条件の検討や、き裂の進展予測を行うことが期待される。
PHによる画像解析の一例を Fig.1に示す。ここでは中央の画像(original)を解析することを考える。黒いピクセルを減らす過程を左方向に、増やす過程を右方向に表し、上の数字が黒いピクセルの増減量を示している。PHでは、穴(ピクセルで囲われた領域)が現れることをBirth、穴が潰れることをDeathと呼んでいる。規則的なメッシュ構造をき裂分布としてPHによって解析した場合、Birthがき裂開口幅、Deathがき裂間隔、BirthとDeathの組み合わせの数がマトリックスブロックの数を表すことがわかった。
本研究では、岩石のき裂構造と数値シミュレーション結果のき裂画像をPHにより定量評価した。数値シミュレーションでは、カンラン石が加水反応によって蛇紋石となる膨張過程を考慮し、離散要素法と有限差分法により岩石内の流体流動とき裂進展を計算した[1]。シミュレーションから得られた画像と天然の岩石の薄片画像をPHを用いて解析し、得られたPHパラメータをプロットしたものをFig. 2に示す。ここで、横軸はBirthとDeathの組み合わせの数、縦軸はDeathの最大値を示しており、それぞれ、マトリックスブロックの数、最大のき裂間隔を表していると考えることができる。Fig.2より、実際のき裂画像の構造に近い数値計算結果を選出し、その時の流動条件が蛇紋岩のき裂構造の形成条件であると推測した。推測した結果は、 岩石学者の経験や感覚によって選定した結果と一致している(Okamoto and Shimizu, 2016)。PHを用いて経過時間、流動条件などが異なるき裂構造を定量的に評価・比較し、き裂の生成条件の検討や、き裂の進展予測を行うことが期待される。