[MGI37-P03] 地球深部探査船「ちきゅう」を取り巻く大量データと科学支援活動について
キーワード:地球深部探査船「ちきゅう」、国際深海掘削計画、科学掘削支援
地球深部探査船「ちきゅう」は,2005年7月に海洋研究開発機構に引き渡されてから14年目を迎えようとしている.国際深海掘削計画がスタートして2018年でちょうど50周年,その枠組みの中の主力船の1つとし洋上の実験室は少しずつリニューアルし,老朽化・陳腐化した実験器具も刷新し,ラボのリニューアル『ラボ改善』や科学支援活動に着手してきた.国際就航第1回目の第314次航海(2007年9月)から16航海を経て,航海日数全1000日,のべ乗船者数27か国から350名が,「ちきゅう」による科学掘削プロジェクトに参加したことになる.米国主導で運用している現在も現役のジョイデス・レゾリューション号を初期モデルとし,毎回の航海終了時に行うラボへのアンケート,要望を吟味しながら,改善の優先順位づけを行う.実験室以外にもデータサービスのクオリティを一定レベルに保つようデータマネジメントやQCシステムや研究者へのデータ配信サービスを行っている.14年間のオペレーションの工夫や改善点の一つ一つが安全な航海を支える貴重なデータとなっている.科学掘削の事前調査から掘削安全の吟味のための資料作成,検層データの計画,現場立会い,データQC,配信,レポート作成サポートだけでなく,幅広い活動が実施されてきている.同じ海域で取得した過去データを持ち寄り,船上で研究者が集中して論文作成に打ち込むワークショップや様々なオペレーションの合間に短期間で実施できる海底表層ピストンコア取得の提案を受付,実施実績もある.次世代育成のための様々なカテゴリーのコアスクールも行なっている.中でもロギングスクールは,10年を超えるロングランであり,海外とのコラボレーションも行っている.科学支援の立場から,「ちきゅう」を取り巻く大量データと研究者,技術者を繋ぐ支援活動について,議論を深め,さらに推進する糧としたい.