日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS11] 水惑星学

2019年5月28日(火) 09:00 〜 10:30 A02 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:関根 康人(東京工業大学地球生命研究所)、臼井 寛裕(東京工業大学地球生命研究所)、福士 圭介(金沢大学環日本海域環境研究センター)、渋谷 岳造(海洋研究開発機構)、座長:関根 康人(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、渋谷 岳造(海洋研究開発機構)、臼井 寛裕

09:45 〜 10:00

[MIS11-16] 陸惑星におけるハビタブルゾーン

*小玉 貴則1玄田 英典2大石 龍太3阿部 彩子3 (1.ボルドー大学 、2.東京工業大学地球生命研究所、3.東京大学大気海洋研究所)

キーワード:陸惑星、ハビタブルゾーン

系外惑星系におけるハビタブル惑星の議論のほとんどは、全球的に多くの水量をもつ地球のような惑星について議論されている。水を保持する惑星が強い太陽放射を受け取った場合、惑星表面の液体の水は全て蒸発してしまい、暴走温室状態へと気候が遷移する。この時の惑星が受け取る太陽放射を暴走温室限界と呼ぶ。また、恒星から遠い惑星は受け取る太陽放射が小さいため、表面の水は凍ってしまい、全球凍結状態に陥る。その時の惑星が受け取る太陽放射を凍結限界と呼ぶ。暴走温室限界と凍結限界の間の領域は液体の水が惑星表面に長期間安定に維持される領域であり、ハビタブルゾーンと呼ばれている。

Abe et al. (2011)は、3次元大気大循環モデル(GCM)を用いて、惑星の保持する水量に焦点を当て、暴走温室限界と凍結限界を調べ、水量の異なる惑星のハビタブルゾーンを見積もった。その結果、地球のような惑星に比べ少ない水を保持している惑星の方が広いハビタブルゾーンをとることを示した。彼らが検討した水量のレンジは全球20[cm]から60[cm]と狭いため、惑星の水分布と気候の関係を十分に理解できなかった。

我々は、地球サイズの惑星のおける様々な表層水分布を仮定し、3次元大気大循環モデルを用いて、暴走温室限界と凍結限界への水分布の影響を調べた。水分布は、経度に一様な水分布を仮定した。背景大気として現在の地球と同じ大気組成からなる1barの大気を仮定した。
結果として、惑星の水分布により、暴走温室限界と凍結限界共に、連続的に変化することがわかった。また、両限界についても、大気循環により表層状態が大きく影響を受け、両限界を決めていることがわかった。発表では、これまでの我々の結果と合わせて、水分布とハビタブルゾーンの関係をまとめる。