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[MIS27-10] 冬季雷における高エネルギー現象の観測プロジェクトの進展
キーワード:雷、ガンマ線、放射線
雷雲や雷放電における強電場領域では電子が相対論的な速度まで加速され、その制動放射が地上あるいは衛星・飛翔体実験により検出されている。電子が加速される機構や条件を明らかにするため、我々はGamma-Ray Observation of Winter Thunderclouds (GROWTH) 実験を2007年より行っており、2015年からは石川県や新潟県で可搬型の放射線検出器を用いた多地点観測を実施している。これまで、雷雲から数分以上にわたって放出されるロングバーストの性質 (Tsuchiya et al. 2007) や、雷放電によって放出された地球ガンマ線フラッシュが大気中で光核反応を引き起こしたこと (ショートバースト:Enoto et al. 2017) を解明している。これらロングバーストやショートバーストの検出事例を増やし、さらに個々の事象を複数の観測点で捉えるために、検出器の台数をさらに拡充しており、2018-2019年の冬季シーズンでは合計で20台以上の可搬型検出器を運用した。また雷放電や雲中電場とロングバースト・ショートバーストの関係を探るため、長波帯電波観測や大気電場計測との連携も進めている (Wada et al. 2018)。新たなイベントとして、2018年1月には金沢市で雷放電に同期したロングバーストの途絶とショートバーストの同時検出することに成功した。ロングバーストが途絶した位置と、ショートバーストを発生させた放電の電波パルスの位置は1 km以内で一致しており、ロングバーストを引き起こす雷雲内の強電場領域がショートバーストの発生を促進したことが示唆される。本講演ではGROWTH実験の進展状況、およびこのロングバーストとショートバーストの同時検出事象について報告する。