日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS27] 大気電気学:大気電気学研究の自然災害軽減への応用

2019年5月28日(火) 10:45 〜 12:15 202 (2F)

コンビーナ:芳原 容英(電気通信大学 大学院情報理工学研究科)、鴨川 仁(東京学芸大学教育学部物理学科)、座長:芳原 容英

11:30 〜 11:45

[MIS27-10] 冬季雷における高エネルギー現象の観測プロジェクトの進展

*和田 有希1,2榎戸 輝揚3松元 崇弘1中澤 知洋4古田 禄大5湯浅 孝行土屋 晴文5米徳 大輔6澤野 達哉6牧島 一夫1,2鴨川 仁7中村 佳敬8森本 健志9佐藤 光輝10酒井 英男11南戸 秀仁12牛尾 知雄13 (1.東京大学、2.理化学研究所、3.京都大学、4.名古屋大学、5.日本原子力研究開発機構、6.金沢大学、7.東京学芸大学、8.神戸市立工業高等専門学校、9.近畿大学、10.北海道大学、11.富山大学、12.金沢工業大学、13.首都大学東京)

キーワード:雷、ガンマ線、放射線

雷雲や雷放電における強電場領域では電子が相対論的な速度まで加速され、その制動放射が地上あるいは衛星・飛翔体実験により検出されている。電子が加速される機構や条件を明らかにするため、我々はGamma-Ray Observation of Winter Thunderclouds (GROWTH) 実験を2007年より行っており、2015年からは石川県や新潟県で可搬型の放射線検出器を用いた多地点観測を実施している。これまで、雷雲から数分以上にわたって放出されるロングバーストの性質 (Tsuchiya et al. 2007) や、雷放電によって放出された地球ガンマ線フラッシュが大気中で光核反応を引き起こしたこと (ショートバースト:Enoto et al. 2017) を解明している。これらロングバーストやショートバーストの検出事例を増やし、さらに個々の事象を複数の観測点で捉えるために、検出器の台数をさらに拡充しており、2018-2019年の冬季シーズンでは合計で20台以上の可搬型検出器を運用した。また雷放電や雲中電場とロングバースト・ショートバーストの関係を探るため、長波帯電波観測や大気電場計測との連携も進めている (Wada et al. 2018)。新たなイベントとして、2018年1月には金沢市で雷放電に同期したロングバーストの途絶とショートバーストの同時検出することに成功した。ロングバーストが途絶した位置と、ショートバーストを発生させた放電の電波パルスの位置は1 km以内で一致しており、ロングバーストを引き起こす雷雲内の強電場領域がショートバーストの発生を促進したことが示唆される。本講演ではGROWTH実験の進展状況、およびこのロングバーストとショートバーストの同時検出事象について報告する。