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[O03-P42] 嵯峨野高等学校校有林における研究活動の総括と今後の方向性
キーワード:森林、土壌
本発表は5年間における約80人以上の生徒による嵯峨野高等学校校有林における研究活動の成果を取りまとめ、今後の方向性を提示することを目的とする。校有林は市街地と山地の境界に位置する里山地域と位置付けられる。一部約70年前にスギ・ヒノキの植林が行われた後は、適切な山林管理は行われていない。林内1.9 haの半分程度の平面測量を終えており、地理情報システムによる処理を行った。傾斜は20 – 40度あるものの、適潤性褐色森林土に分類される土壌の明確な流出は見られない。一方で、シカ(Cervus nippon)による食害が顕著であり、下層植生の衰退による土壌侵食などの発生などが危惧される。しかしながら、土壌pHが低く、pHの発芽抑制が強く、シードバンクには期待できない。また、ドローンによる空撮映像から林冠は極めて密であり、間伐が喫緊の課題であることが分かった。昨今の森林にまつわる土砂災害の観点から、土壌断面調査および土壌透水性の調査を行った結果、ある一定レベルまでの降雨を土壌は保持できることが判明した。しかしながら、土壌透水性は比較的良いことから、激しい豪雨などの場合には土壌圏を通過し、岩石圏に到着することから、土砂災害の可能性が高まると考える。今後、校有林における水文学ならびに森林情報解析学の観点からのアプローチを試みる。