日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-AE 天文学・太陽系外天体

[P-AE20] 系外惑星

2019年5月26日(日) 10:45 〜 12:15 105 (1F)

コンビーナ:生駒 大洋(東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻)、成田 憲保(東京大学)、座長:生駒 大洋(東京大学)、成田 憲保(東京大学)

11:30 〜 11:45

[PAE20-10] Hot Rocky Super-Earthsにおける金属気体を含む大気化学モデルの構築

*Danielache Sebastian1,2高橋 遊大1Miguel Yamila3Simoncini Eugenio4Grassi Tommaso5 (1.上智大学 理工学部 物質生命理工学科、2.東京工業大学 地球生命研究所、3.Leiden Observatory, Leiden University、4.Simoncini Telai Gambassi Terme、5.University Observatory Munich, Ludwig-Maximilians-University)

キーワード:Hot Rocky Super-Earths、大気化学

2018年10月に運用を終了し、引退したKepler宇宙望遠鏡は、その任務中に2600個以上の太陽系外惑星を発見した。このように近年、系外惑星の探査およびハビタブルゾーンや発見された惑星における環境の解明などの研究が注目されている。その中でも、Hot Rocky Super-Earths(以下、HRSEs)と呼ばれる区分の系外惑星に関する環境は未解明の分野の一つである。明確な定義は無いものの、Super-Earthsは質量が地球の10倍以下、半径は地球の2倍以下の地球型岩石惑星を指す。特にHRSEsは、我々の太陽から水星までの距離(0.387 AU)よりもはるかに主星に近い軌道を公転し、表面温度が地表岩石の融点を超え、岩石成分が蒸発することで鉱物由来の金属化学種を含む大気を有していると考えられている。本研究は、HRSEsの高温低圧環境を仮定し、金属気体を含む大気化学モデルを構築することが目的である。
現代の技術では、太陽系外惑星はその存在を確認するだけでも大きな功績であり、個々の惑星の詳細な環境の解明には至っていない。そこで、本研究で境界条件を設定するにあたり、BSE(Bulk Silicate Earth)を高温状態にしたと仮定して得られる温度―圧力プロファイルおよび化学種の初期の混合比を用いて、地表温度が2500 K、重力加速度が25 m s-2であり、Na、O、Fe、SiOなどを大気主成分とする系外惑星を考えた。HRSEsの環境は非常に高温であるため、揮発性物質は散逸していると考えられ、本研究では反応は主に酸素と金属の反応を考慮した。高度400 kmまでを仮定した鉛直一次元モデルを用いてシミュレーションを行った。
本モデルによって得られたNa系列とFe系列の化学種の高度分布を以下に示す。金属化学種は、結合する酸素数が増えるにしたがって数密度が小さくなり、存在量が少ないことがわかる。