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[PCG25-15] アルマを用いた木星放射線帯変動メカニズムの解明に向けて
キーワード:木星、アルマ、成層圏、放射線帯
木星は、地球と比較して強力な磁場や10 時間の高速自転、太陽系外縁の弱められた太陽風といった諸要素に支配され、地球とは異なった磁気圏を形成している。地球は太陽風による影響を受けるため「太陽風駆動型」と称され、一方で木星は「回転駆動型」と対比されている。木星放射線帯には太陽系内最大であり、安定した領域だと考えられてきたが、1990 年代以降の地上観測によって数日から数週間の時間スケールで変動しているということが明らかになった。理論予測によると、太陽紫外線が熱圏大気を加熱して中性風の擾乱を引き起こし、ダイナモ電場の擾乱が誘発されることにより放射線帯内部で動径拡散が増大すると考えられている。更に、熱圏風の昼夜対流により生じる電離圏ダイナモ電場のポテンシャルが朝夕間で異なることにより、磁力線を介して電離圏と結ばれた放射線帯粒子の空間分布が変化することも予想されている。これまでの研究から太陽紫外線と放射線帯の相関関係が明らかとなったが、上層大気の風速変動については解明されていない。従って、上層大気の風速場を観測することは成層圏のダイナミクスだけでなく、放射線帯の時空間変動の解明にも繋がる。このシナリオの解明にはアルマの高空間・周波数分解能が必要不可欠である。木星成層圏にはHCNやCSが存在しており、サブミリ波帯で観測が可能である。これらの分子をトレーサーとして、輝線のドップラーシフトから成層圏の風速場を知ることができる。本発表ではアルマを用いた木星成層圏風速場観測に関するフィージビリティの議論を行なうとともに、公開データを用いた検証結果について報告する。