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[SCG49-04] Oman Drilling Project Phase 1 のリストヴェナイト中のドロマイト脈に薄い塩水からなる流体包有物があるぜよ
キーワード:海水、炭素循環、蛇紋岩、蛇紋石、炭酸塩、炭酸塩岩化
Oman Drilling Project Phase 1 のリストヴェナイト(試料名: z68w)は白色ないし緑色を呈するリストヴェナイトでマグネサイトと石英からなる。そのリストヴェナイトにはドロマイトからなる脈が存在し、ドロマイト中に気体と液体からなる流体包有物がたくさん存在する。多くのものは6ミクロンメートル以下と小さく、顕微ラマン分光法で気体と液体の同定ができるものは限られる。まれにある6ミクロンメートル以上の大きな流体包有物からは、顕微ラマン分光法でH2Oのスペクトルを得られるが、これら大きい流体包有物は冷却加熱実験中に破壊されて顕微鏡下で暗くなってしまい、凝固点降下を観察することはできない。これまで顕微ラマン分光法で流体包有物から得られたスペクトルはH2Oのみで、メタンや二酸化炭素のスペクトルは得られていない。そして、リンカム社製の冷却加熱ステージとニコン社製の100倍の対物レンズを組み合わせて測定した凝固点降下から、流体包有物は 1.1 ± 0.5 wt% NaCl 当量と推定する (n=42, Figure 1)。これは海水の3.5%よりも薄い塩水であることを示す。流体包有物の均質化温度は139 ± 31°C (n=8, Figure 2)で、この以上の高温条件で形成されたことを示す。流体包有物はドロマイト脈中に存在し、それはマグネサイトと石英を切っている(Figure 3)ことから、流体包有物を作る薄い塩水はドロマイト脈の形成時に存在したことを示す。海水が炭素を運びカンラン岩または蛇紋岩と反応することによってリストヴェナイトを形成したと仮定するならば、その過程でなにかの相に塩素を吸収されるか、天水などとの混合によって、海水が薄い塩水になったと考える必要がある。