日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG56] 海洋底地球科学

2019年5月26日(日) 10:45 〜 12:15 A05 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:沖野 郷子(東京大学大気海洋研究所)、座長:浅見 慶志朗田中 えりか

11:00 〜 11:15

[SCG56-08] X線CTによる遠洋性粘土中の堆積構造および生物源アパタイト分布の観察

*臼井 洋一1飯島 耕一1町山 栄章1市山 祐司2,1田中 えりか3藤永 公一郎4,3安川 和孝3,4 (1.海洋研究開発機構、2.千葉大学、3.東京大学、4.千葉工業大学)

キーワード:遠洋性粘土、X線CT、堆積構造

遠洋性粘土は肉眼で確認できる堆積構造をほとんど持っていないため、岩相分類はしばしば困難である。近年、いくつかの遠洋性粘土中で、生物源アパタイト含有量に大きな変動が見つかっている。アパタイトは粘土基質より密度が高いため、その分布を物性測定により検出し、堆積構造を推定することができる可能性がある。さらに、遠洋性粘土中の生物源アパタイトにはレアアース元素が濃集しているため、アパタイトの分布の把握は資源探査にも重要である。本研究では、南鳥島周辺で採取されたピストンコアを対象に、非破壊X線CTによる密度推定と化学分析結果とを比較する。X線CTより推定された堆積物密度の深度プロファイルは、密度の直接測定結果およびガンマ線減衰とよく一致した。また、密度とレアアース元素およびリン含有量には正の相関があった。さらに、X線CT画像から、堆積構造とアパタイトの分布が明らかになった。例えば、生物擾乱が盛んな層準ではアパタイトは30cm以上鉛直方向に輸送されている一方、擾乱が穏やかな層準ではアパタイト濃集層が10cm以下の厚さである様子が見られた。こうした特徴は、肉眼でのコア観察や化学分析では見過ごされる可能性がある。したがって、遠洋性粘土に対するX線CTは、堆積構造やアパタイトおよびレアアース元素の分布を把握するために有用である。