日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-IT 地球内部科学・地球惑星テクトニクス

[S-IT21] 核-マントルの相互作用と共進化

2019年5月27日(月) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:河合 研志(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、飯塚 毅(東京大学)、太田 健二(東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻)、土屋 卓久(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)

[SIT21-P03] 日本列島地殻由来の地殻ニュートリノフラックス推定への地球化学データベース利用

*原口 悟1上木 賢太1岩森 光1,2,3 (1.海洋研究開発機構、2.東京大学地震研究所、3.東京工業大学)

キーワード:ニュートリノ、地球化学データベース、地殻とマントルの地球化学的構造

地球深部の構造を直接に示すものとして、「地球深部由来のニュートリノ」が注目されている。地球深部由来のニュートリノを観測する施設として、神岡に設置されている反ニュートリノ検出装置「KamLAND」が稼働しているが、ニュートリノの起源となる放射性物質は、地殻に圧倒的な量が分布しているため、地球深部のU, Th量を推定するためには、ニュートリノフラックスの多くを担う地殻由来フラックスを厳密に区分する必要がある。現時点では、地殻由来ニュートリノは、組成、空間分布ともに単純な地殻化学組成モデルを基に構築されているが、実際の日本列島地殻構成岩石の放射性元素は非常に幅広い組成幅を持ち、複雑に分布している。このため、地球深部由来ニュートリノのより精密な測定には、地殻内の放射性元素分布をより精密に区分する必要があり、地殻内元素分布モデルを構築するための高精度の位置情報を有する岩石地球化学データベースが必要となる。
一方、日本列島の地殻がどのような岩石で構成され、いかなる化学組成をもつかは、地震活動、火山活動や地殻変動を理解する上で基礎的情報であるにも関わらず、地質図にあらわされる以上に系統的な解析(例えば統計解析)はほとんど行われていない。日本列島地殻の化学組成の空間的なバリエーションの解析は、日本列島の進化履歴や、沈み込み帯における化学進化を考える上でも重要である。我々は、日本国内出版文献に掲載されている地球化学データのコンパイルを行うデータベース「DODAI」を地質学雑誌に報告した。本発表では、本データベースを用いた「日本列島の地殻化学構造の解析」の「ニュートリノ地球化学」への貢献について報告したい。日本列島全域をカバーし、高精度の位置情報を有する岩石地球化学データベースである「DODAI」は、データ解析、モデリングに有用である。高精度の位置情報を有する地球化学データベースは地球の化学構造のモデリングに有用であり、本報告では、DODAIデータベースと地球ニュートリノを用いた地球の化学研究のポテンシャルを議論したい。