15:45 〜 16:00
[SSS10-08] 海域観測点の気象庁一元化処理への活用について
キーワード:一元化震源、海底地震計、震源決定
気象庁及び関係機関の高感度地震観測データの一元的処理(以下、「一元化処理」という)に、近年、日本海溝及び南海トラフの海域に整備された地震観測点であるS-netやDONETのデータを導入すべく、以下のことについて検討を行った。
○海底地震計の堆積層補正値の算出
海底地震計の直下に存在する未固結堆積層により走時が大幅に遅れることが知られている。今般、未固結堆積層と基盤層の境界でP波からS波に変換した波(PS変換波)の走時データを収集し、PS変換波とP波との時間差から、一元化処理で使用する全ての海底地震計の未固結堆積層補正値を求めた。
○海域速度構造の検討
現在気象庁が震源計算に用いている陸用の速度構造であるJMA2001を海域地震観測点の走時計算や射出角計算に使用すると、海域で発生する地震の位置(特に深さ)や初動発震機構解を適切に決めることが出来ない。その改善策として、既知の海域構造探査結果を用いて、日本海溝陸寄り用構造、日本海溝アウターライズ周辺用構造、南海トラフ用構造の3種類の速度構造を作成した。
○S-net用速度M補正値の算出
S-netデータを一元化処理に使用し始めると、特に陸から遠い海溝軸周辺の地震はS-netのみの検測データとなることが予想される。一方、S-net速度地震計は固有周期15Hzであり、従来気象庁や関係機関で使用していた固有周期1秒の速度計と比べ、特性が異なっているため、そのままでは従来の速度M式に適用できない。今般、S-net速度地震計の最大振幅データを用いて速度Mを求めるために、従来の速度Mとの連続性を考慮し、震源距離50km~150kmまでの3成分毎最大振幅値を合成したデータを用いることとした。また、埋設用及び非埋設用のS-netの速度M補正値を求めた。
上記の未固結堆積層補正値及び海域速度構造を考慮して震源計算を行った結果、海域の地震の震源位置及びO-Cの残差が大きく改善された。特にS相のO-Cが大きく改善され、海域で発生した地震の深さ精度が良くなったと思われる。また、その震源位置と海域構造を考慮した射出角を初動発震機構解析に用いることにより、発震機構解の改善がみられた。
これらの震源計算及びM計算手法等の変更について、処理システムの準備が整い次第、運用を開始する。
○海底地震計の堆積層補正値の算出
海底地震計の直下に存在する未固結堆積層により走時が大幅に遅れることが知られている。今般、未固結堆積層と基盤層の境界でP波からS波に変換した波(PS変換波)の走時データを収集し、PS変換波とP波との時間差から、一元化処理で使用する全ての海底地震計の未固結堆積層補正値を求めた。
○海域速度構造の検討
現在気象庁が震源計算に用いている陸用の速度構造であるJMA2001を海域地震観測点の走時計算や射出角計算に使用すると、海域で発生する地震の位置(特に深さ)や初動発震機構解を適切に決めることが出来ない。その改善策として、既知の海域構造探査結果を用いて、日本海溝陸寄り用構造、日本海溝アウターライズ周辺用構造、南海トラフ用構造の3種類の速度構造を作成した。
○S-net用速度M補正値の算出
S-netデータを一元化処理に使用し始めると、特に陸から遠い海溝軸周辺の地震はS-netのみの検測データとなることが予想される。一方、S-net速度地震計は固有周期15Hzであり、従来気象庁や関係機関で使用していた固有周期1秒の速度計と比べ、特性が異なっているため、そのままでは従来の速度M式に適用できない。今般、S-net速度地震計の最大振幅データを用いて速度Mを求めるために、従来の速度Mとの連続性を考慮し、震源距離50km~150kmまでの3成分毎最大振幅値を合成したデータを用いることとした。また、埋設用及び非埋設用のS-netの速度M補正値を求めた。
上記の未固結堆積層補正値及び海域速度構造を考慮して震源計算を行った結果、海域の地震の震源位置及びO-Cの残差が大きく改善された。特にS相のO-Cが大きく改善され、海域で発生した地震の深さ精度が良くなったと思われる。また、その震源位置と海域構造を考慮した射出角を初動発震機構解析に用いることにより、発震機構解の改善がみられた。
これらの震源計算及びM計算手法等の変更について、処理システムの準備が整い次第、運用を開始する。