日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS11] 地震波伝播:理論と応用

2019年5月28日(火) 09:00 〜 10:30 A09 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:西田 究(東京大学地震研究所)、白石 和也(海洋研究開発機構)、新部 貴夫(石油資源開発株式会社)、澤崎 郁(防災科学技術研究所)、座長:武村 俊介(防災科研)

09:01 〜 09:23

[SSS11-13] 奥会津地熱地域における微小地震観測により推定された涵養試験時の流体流動

★招待講演

*岡本 京祐1易 利2浅沼 宏1岡部 高志3阿部 泰行4都築 雅年5 (1.産業技術総合研究所、2.大阪大学、3.地熱技術開発、4.奥会津地熱、5.石油天然ガス・金属鉱物資源機構)

キーワード:微小地震観測、散乱波解析、地熱貯留層

奥会津地熱地域(福島県柳津町)では,2015年度から,蒸気生産量安定化のために涵養注水試験が行われている。注水による地熱貯留層の冷却を避けるためや,より大きな涵養効果を得るためには,注入水の地下での流動把握・予測が重要である。一方で,一般的に地下,特に脆性領域内では複雑な地下構造が発達しており,単純な均質モデルでの流動予測は難しい。その要因として,破砕帯のような高透水域を選択的に通る流動の発生や,せん断破壊による新たな流動経路の生成などが挙げられる。また,後者のせん断破壊においては,間隙内への流体流入による有効応力の低下,注水や微小地震発生に伴う応力変化の伝播,熱変化による応力の発生等,その発生メカニズムを特定することは難しく,新たな流動経路の予測は困難である。
 当該地域では,2015年度よりJOGMEC「地熱貯留層評価・管理技術」研究の一環として整備された微小地震監視ネットワークが整備されている。本研究では,これを用いて地下流動の解明を行う。地震波散乱解析から推定した地下間隙内の弾性波速度変化や,注水井底の圧力・温度情報等を用いて,地熱貯留層内の微小地震発生の要因についての考察を行う。