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[SSS13-03] プレート三重会合点付近の地震により東京湾岸で観測される長周期地震動
キーワード:長周期地震動、表面波、震源特性
植竹(2018)では,2016年9月23日に三重会合点北側で発生したM6.7の地震による東京湾岸の速度記録を分析し,同規模・同距離の地震による記録と比べて,短周期成分が小さく,周期10秒の成分が大きいことを示した.その後,三重会合点の南側で,2018年12月24日にM5.9の地震が2回,12月25日にM5.7の地震が1回起きたことから,2016年の地震との比較を行った.さらに北側の日本海溝沿いに発生した地震との比較も試みた.
まず,2018年12月24日9時18分に発生したM5.9の地震による記録を分析した.分析に用いたのは東京湾岸の火力発電所に設置されている速度型強震計の記録である.東京湾の西側に8地点,東側に4地点の観測点がある.震央距離は,東京湾東側(千葉県側)と横須賀で概ね210~220km,横須賀を除く東京湾西側で230~240kmである.いずれの観測点でも長周期の揺れが長時間継続しており,東京湾北東部の観測点では顕著な長周期波群が確認できる.減衰5%の速度応答スペクトルを計算すると,いずれの観測点でも周期10秒付近がピークで短周期側は小さい.周期1~2秒の振幅は周期10秒の振幅の5分の一以下である.観測波形にマルチフィルタ解析を施すと,東京湾北東部の波形には明瞭な群分散性が認められ,表面波成分が卓越していると考えられる.こういった波形の特徴は,2016年のM6.7の地震と類似している.2018年12月24日9時43分のM5.9の地震や2019年12月25日のM5.7の地震でも同様な傾向が確認できた.
次に,日本海溝沿いに北側で発生した地震と比較を行った.2008年から2018年に,北緯35.5度から南側の海域で発生したM5.7以上の地震を調べた.この海域では大きな地震の発生が少なく,抽出された地震は次の4地震である.南から順に2013年5月2日M5.7,2011年3月12日M6.1,2011年4月14日M6.0,そして2013年12月23日M5.9である.これらの地震の減衰定数5%の速度応答スペクトルの特徴を調べた.最も南側の2013年5月2日の地震では三重会合点付近の地震とよく似た形状を示していたが,北側の他の3地震では短周期側も大きく,周期10秒付近から周期2秒付近までほぼ同じ振幅レベルとなっていた(図参照).このことは,海溝沿いの地震の震源特性に地域性がある可能性を示唆している.
まず,2018年12月24日9時18分に発生したM5.9の地震による記録を分析した.分析に用いたのは東京湾岸の火力発電所に設置されている速度型強震計の記録である.東京湾の西側に8地点,東側に4地点の観測点がある.震央距離は,東京湾東側(千葉県側)と横須賀で概ね210~220km,横須賀を除く東京湾西側で230~240kmである.いずれの観測点でも長周期の揺れが長時間継続しており,東京湾北東部の観測点では顕著な長周期波群が確認できる.減衰5%の速度応答スペクトルを計算すると,いずれの観測点でも周期10秒付近がピークで短周期側は小さい.周期1~2秒の振幅は周期10秒の振幅の5分の一以下である.観測波形にマルチフィルタ解析を施すと,東京湾北東部の波形には明瞭な群分散性が認められ,表面波成分が卓越していると考えられる.こういった波形の特徴は,2016年のM6.7の地震と類似している.2018年12月24日9時43分のM5.9の地震や2019年12月25日のM5.7の地震でも同様な傾向が確認できた.
次に,日本海溝沿いに北側で発生した地震と比較を行った.2008年から2018年に,北緯35.5度から南側の海域で発生したM5.7以上の地震を調べた.この海域では大きな地震の発生が少なく,抽出された地震は次の4地震である.南から順に2013年5月2日M5.7,2011年3月12日M6.1,2011年4月14日M6.0,そして2013年12月23日M5.9である.これらの地震の減衰定数5%の速度応答スペクトルの特徴を調べた.最も南側の2013年5月2日の地震では三重会合点付近の地震とよく似た形状を示していたが,北側の他の3地震では短周期側も大きく,周期10秒付近から周期2秒付近までほぼ同じ振幅レベルとなっていた(図参照).このことは,海溝沿いの地震の震源特性に地域性がある可能性を示唆している.