[SSS13-P30] 島根県大田市波根地区および久手地区における稠密微動観測
キーワード:微動観測、地盤震動特性、地盤構造、2018年島根県西部の地震
2018年4月9日に島根県西部の大田市付近を震源とするMj6.1の地震が発生した.この地震により,震源近傍の島根県大田市の一部の地域で局所的に建物被害,液状化による被害が生じた.そこで著者らは地震発生直後より,被害が集中した地域で臨時余震(強震)観測および微動観測を実施し,その観測記録を用いて地盤震動特性の把握と地盤構造を推定した.本研究では被害が多く発生した波根地区,久手地区において,追加で微動観測を実施した.微動H/Vの特徴としては複数の明瞭なピークがみられる地点が多く,0.1~0.5秒付近の短周期側の卓越周期と建物被害が関係している可能性がある.表層地盤は軟弱な砂もしくは粘土層が堆積しており,S波速度は110m/s~320m/sで層厚が最大で40m程度であった.S波速度構造モデルより1/4波長則を用いて,H/Vの短周期側と長周期側の卓越周期に対応した2層モデルを構築し,それぞれの卓越周期に対する浅部地盤および深部地盤の層厚分布を求めた.浅部地盤は地形や表層地盤の堆積環境の違いを反映して,層厚が急激に変化する領域が見られ,今回の地震で被害が生じた地域と概ね一致することがわかった.深部地盤は火山堆積物もしくは堆積岩の風化層を反映しており,その層厚分布は緩やかな変化がみられるが,被害が生じた地域内では層厚に大きな違いがなかった.