日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT43] 地震観測・処理システム

2019年5月30日(木) 10:45 〜 12:15 A11 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:前田 宜浩(防災科学技術研究所)、座長:篠原 雅尚(東京大学地震研究所観測開発基盤センター)

10:45 〜 11:00

[STT43-01] 連続観測用ボアホール応力計の特徴に関するまとめと考察

*石井 紘1浅井 康広1 (1.公益財団法人 地震予知総合研究振興会 東濃地震科学研究所)

キーワード:連続観測用ボアホール応力計、応力と歪を観測可能、広い観測レンジ、観測された不変量と鉛直成分の相似性、高い分解能

当研究所で開発した連続観測用のボアホール応力計に関してはIshii & Asai(2015)に述べられている。また,石井・浅井(2019)においては開発された応力計の観測可能範囲が広いこと,直流成分にも応答することや震源に関して地震計と異なる物理情報を得ることができることなどを述べている.連続観測用ボアホール応力計はその他にもいろいろな特徴があり,それらを理解しておくことは今後の地震研究にも役立つと考えられる.そこで本稿においては考察した結果をまとめた.

考察した内容は以下の様である.
1.「応力計は応力と歪の両方を観測できる」においては応力計が応力と歪の両方を観測できることの説明のほかに応力計の歪観測システムは従来の円筒の変形を測定する歪観測より測定システムが理解しやすい上に装置のYoung率も求めることができることを述べている.
2.「応力計により観測される応力は歪と異なり岩盤の弾性定数が未知でも求められる」においては応力計により観測・測定する応力は埋設設置してある岩盤媒質の弾性定数に関係なしに求まることを述べている.歪は応力計の拡大機構の歪を測定しているので岩盤の歪は直接求まらないが拡大機構のYoung率が求められるので岩盤媒質のYoung率がわかれば岩盤の歪も求められることを述べている.拡大機構のYoung率を岩盤と同じくすれば岩盤の歪も直接求めることができる.
3.「観測された応力や歪の地震波形などをみると長周期変動の場合,二次元不変量成分と鉛直成分は相似波形で位相が逆になっている.」この理由を考察した。
4.ボアホール応力計で観測される変動の分解能は地上において観測する変位などより2桁近く分解能がよい.このことを関東地震,東北地震や伊豆の群発地震の観測データを用いて考察した。
5.「応力計・歪計のdynamic range は如何に広いか」ということを石井・浅井(2019)において述べたが、それに加えてさらなる考察も加えた.