日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT47] ハイパフォーマンスコンピューティングが拓く固体地球科学の未来

2019年5月26日(日) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:堀 高峰(独立行政法人海洋研究開発機構・地震津波海域観測研究開発センター)、八木 勇治(国立大学法人 筑波大学大学院 生命環境系)、汐見 勝彦(国立研究開発法人防災科学技術研究所)

[STT47-P01] Prototype of Green’s function library for geodetic slip inversion based on an integrated velocity structure model of Japan

*縣 亮一郎1市村 強2,3,4藤田 航平2,3山口 拓真2飯沼 卓史1堀 高峰1 (1.海洋研究開発機構、2.東京大学 地震研究所、3.理化学研究所 計算科学研究センター、4.理化学研究所 革新知能統合研究センター)

キーワード:測地すべり逆解析、地殻変動、グリーン関数、有限要素法

全球測位衛星システム(GNSS)や、GNSS-Acoustic技術などにより得られる陸域・海底の測地変位・速度データを用いた逆解析により、地震時・地震後・地震間のすべりやプレート間固着などの分布に対する情報を得ることが可能となる。広域に分布する測地点を逆解析に用いる場合に弾性不均質構造や地形の影響を考慮した測地逆解析を行うことの重要性が指摘されている(例えばIchimura et al. 2013, Kyriakopoulos et al. 2013)。一方で、これらの要素を考慮した地殻変動計算にくらべ半無限弾性体を用いた地殻変動計算はより簡便かつ少ない計算負荷で実行できるため、研究の場と国や自治体による被害推定の双方において、後者を用いた測地逆解析が現在でも一般的である。本研究では、測地逆解析に用いるグリーン関数ライブラリを、標準的な速度構造モデル(全国一次地下構造モデル(暫定版)(Koketsu et al. 2008))に基づき構築することを試みる。グリーン関数の計算には、入力となる速度構造モデルに対して忠実なメッシュ生成が可能な手法と、高速かつスケーラブルな有限要素ソルバを導入する(Ichimura et al. 2014, 2016)。最終的な目標はライブラリを東北・房総・南海の三つの沈み込み帯地震震源域に対して整備することである。これにより多くの研究で、弾性不均質構造や地形の影響を考慮した計算が複雑な操作を抜きに導入できるようになることが期待される。現在、東北地方において試験的にグリーン関数の計算を行い、2011年東北地方太平洋沖地震の地震時すべり推定への適用を行っている(Iinuma et al.. 本大会)。発表当日には、ライブラリ作成のフレームワークの詳細とライブラリのプロトタイプについて示す。