[SVC38-P28] 雲仙火山浅部で発生する火山性地震の波形の特徴
キーワード:雲仙、火山性地震、震動軌跡、スペクトル解析
雲仙岳は長崎県島原半島の中央部に位置する火山であり、多くの溶岩ドームから構成されている。1991年から1995年の噴火では溶岩ドーム直下で地震が頻発した。特に、1991年の溶岩ドームの出現直前には、山頂直下の海水準よりも浅い山体内で、孤立型微動が発生した(清水・他, 1992)。観測された孤立型微動はいずれも卓越周波数が2-4Hzと低周波であり、振動継続時間も30-180秒と長かった。1991-95年の噴火以降、噴火活動は停止しているが、2010年以降、山頂直下の浅部において火山性地震の発生が気象庁や九州大学大学院理学研究院付属・地震火山観測研究センターにより観測されている。この地震の発生メカニズムを解明するため、震源再決定と波形の解析に取り組んだ。
はじめに、2018年1月1日から2018年9月7日までの震源再決定を行った。再決定された震源は溶岩ドームや普賢岳の直下に分布し、震源の塊によって3つのグループに分かれた。グループ②、とグループ③の震源はそれぞれ深さ1km, 2kmに決まった。一方で、グループ①(この期間中には3イベント)は海水準より浅い溶岩ドーム直下に決定された。グループ①のP波初動極性は本研究で用いた観測データでは全て引きで、振動継続時間は他の2つのグループより明らかに長かった。次に、再決定された震源を用いてこれらの地震の震動軌跡を計算した。結果は、グループ②とグループ③は明瞭なP波とS波が認められ、構造地震に近いことを示した。一方で、グループ①のS波は不明瞭であった。また、卓越周期を調べるため、スペクトル解析を行った。グループ①の波形スペクトルは、グループ②やグループ③と比べると、高周波成分が小さく、低周波( 2 – 5 Hz )が卓越した。これらの結果を踏まえ、今後さらに詳細な波形解析を行い、これらの地震の発震機構について考察したい。
はじめに、2018年1月1日から2018年9月7日までの震源再決定を行った。再決定された震源は溶岩ドームや普賢岳の直下に分布し、震源の塊によって3つのグループに分かれた。グループ②、とグループ③の震源はそれぞれ深さ1km, 2kmに決まった。一方で、グループ①(この期間中には3イベント)は海水準より浅い溶岩ドーム直下に決定された。グループ①のP波初動極性は本研究で用いた観測データでは全て引きで、振動継続時間は他の2つのグループより明らかに長かった。次に、再決定された震源を用いてこれらの地震の震動軌跡を計算した。結果は、グループ②とグループ③は明瞭なP波とS波が認められ、構造地震に近いことを示した。一方で、グループ①のS波は不明瞭であった。また、卓越周期を調べるため、スペクトル解析を行った。グループ①の波形スペクトルは、グループ②やグループ③と比べると、高周波成分が小さく、低周波( 2 – 5 Hz )が卓越した。これらの結果を踏まえ、今後さらに詳細な波形解析を行い、これらの地震の発震機構について考察したい。