JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM03] 地形

コンビーナ:八反地 剛(筑波大学生命環境系)、瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)

[HGM03-08] 阿蘇外輪山北西部、的石牧場Ⅰ断層基部に生じた陥没孔について

*宇根 寛1佐藤 浩2宮縁 育夫3中埜 貴元4八木 浩司5 (1.前国土地理院、2.日本大学、3.熊本大学、4.国土地理院、5.山形大学)

キーワード:陥没孔、阿蘇外輪山、火砕流堆積面、断層崖

阿蘇外輪山北西部には,Aso-4火砕流の堆積面とされる小起伏の地形が拡がっており,西北西~東南東走向で並行する複数の活断層が指摘されている(鈴木ほか2017)。平成28年熊本地震に伴い,これらの活断層上を含む多数の「お付き合い地震断層」が現れたことが明らかにされている(Fujiwara et al, 2016,Une et al, 2017など)。このうち,的石牧場I断層については,ピット調査,簡易ボーリング調査,地中レーダ探査などの地形地質的調査が実施され,今回同様の活動の累積により,Aso-4火砕流堆積面が変位し,断層崖が形成されたと推測されている(宇根ほか,2019)。
2019年11月,的石牧場Ⅰ断層の基部に直径約3mの陥没孔が新たに形成されているのが発見された。深さ約4m,内部は幅約5m,長さは少なくとも10m以上で底面が南に緩く傾き下がっていた。孔内に明瞭な水路は見られなかった。孔内壁面には,上部には角礫を多く含む砂泥質の黒ボク,下部には火砕流堆積物起源と思われる白色の堆積物が現れていた。白色堆積物は南落ちの断層に切られ,また,黒ボクは北に増傾斜の変位を受けている。これらの特徴は,この地点の約200m東方で行われたピット調査の観察結果(宇根ほか,2019)と整合的であった。
本報告では,その後の調査結果なども含めて,この陥没孔の形態と成因,断層活動との関係等についての考察を行う予定である。