[MGI41-11] 金属鉱床域での高精度鉱物マッピングを目指した航空機ハイパースペクトル画像のシミュレーション:オーストラリア・クイーンズランド州北部での適用例
キーワード:リモートセンシング、ハイマップ、ハイパースペクトル画像、反射率スペクトル、オーストラリア
地球観測衛星を利用したリモートセンシングは,金属鉱床や地熱資源の存在に関連する熱水変質鉱物を広域から抽出できるので,資源の一次探査法として広く適用されてきた.マルチスペクトル画像では,可視域から短波長赤外域にかけての観測波長帯(バンド)数が少なく,地表物質の識別精度が低いのに加えて,地表の詳細がわかるほど空間分解能が高くはないという欠点がある.一方,ハイパー スペクトル画像によれば鉱物の識別精度は高いが,観測は軌道直下の狭い範囲に限られ,広域調査には適していない.そのためハイパースペクトルセンサーで観測されていない領域でもハイパースペクトルデータを生成する技術が必要とされている.この課題を克服する研究として,マルチスペクトル画像から擬似的なハイパースペクトル(Hyperion)画像に変換するアルゴリズム(PHITA)が開発された(Hoang and Koike, 2017; 2018).また,PHITAにより生成された擬似的な画像とオリジナル画像の類似性や鉱物特定の精度が高いことなどが確認された.先行研究で用いられたハイパースペクトルセンサーであるHyperionの空間分解能が30mであるのに対し,本研究で用いる航空機搭載型のハイパースペクトルセンサーであるHyMapの空間分解能は4.5mと空間分解能が高い.また航空機搭載型のハイパースペクトルセンサーは人工衛星に搭載したハイパースペクトルセンサーに比べて,信号対雑音比が高いことが知られている.そこで本研究では,マルチスペクトルデータの波長と空間分解能,両方のダウンスケーリングを目的とし,オーストラリアクイーンズランド州北部を対象に選んだ.そこで取得されたHyMap画像データとマルチスペクトル画像を用いて擬似的なHyMap画像に変換し、鉱物特定の正確性、画像の再現性について統計指標を用いて検証した.