JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS30] 地球科学としての海洋プラスチック

コンビーナ:磯辺 篤彦(九州大学応用力学研究所)、川村 喜一郎(山口大学)、岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、土屋 正史(国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球環境部門)

[MIS30-P08] 島根半島におけるマイクロプラスチックの空間分布

*辻本 彰1山口 佳菜1 (1.島根大学教育学部)

キーワード:島根半島、マイクロプラスチック

島根半島では冬の北西季節風等の影響によって運ばれる海岸漂着ゴミによる景観悪化が問題として生じている.海岸漂着ゴミの多くを占めるプラスチックは,風化や熱分解などによってマイクロプラスチックとなるため,生物体に取り込まれるなどの問題が世界の海域で生じている.本研究では,島根半島におけるマイクロプラスチックの分布特性を明らかにすることを目的とした.
島根半島の砂浜海岸において表層の砂を採取し,1mmと4.75mmのふるいにかけ1~4.75mmのサイズの粒子を分析に使用した.マイクロプラスチックは,その形態的特徴からレジンペレット,シート,線状,発泡スチロール片,その他の形の5つに分類し,個数と質量を計測した.また,マイクロプラスチックの素材を調べるため,ラマン分光装置によってラマン散乱スペクトルを測定した.
調査を行った4つの海岸中で,御津海岸が最も漂着プラスチックが多かった.これは海流によって集積しやすい場所であるためであると考えられる.御津海岸においては,発泡プラスチック片とレジンペレットは汀線付近から離れるにつれ個数が少なくなっている.これは波の作用で汀線付近には漂着物が農集しやすく,発泡プラスチックも同様に運搬されるためであると考えられる.発泡プラスチック片は全マイクロプラスチックの80.2%を占めており圧倒的に個数が多くなっていた.
ラマン散乱スペクトルの測定の結果及び形態的特徴から,御津海岸の漂着レジンペレットの素材はポリプロピレン78.3% ポリエチレン21.7%であることが明らかになった.レジンペレットはプラスチックを作る際の中間材料のため,プラスチック製品の生産量と関係があると考えられるが,東京湾周辺海岸のレジンペレットの組成は、ポリエチレン60%、ポリプロピレン40%程度であることから(栗山他,2002)その起源には地域的な差があると考えられる.