JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-SD 宇宙開発・地球観測

[M-SD47] 将来の衛星地球観測

コンビーナ:本多 嘉明(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、高薮 縁(東京大学 大気海洋研究所)、Shinichi Sobue(Japan Aerospace Exploration Agency)、金子 有紀(国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構)

[MSD47-04] 静止常時観測衛星 -静止光学観測衛星について-(その2)

*沖 一雄1木村 俊義2水谷 忠均2高橋 陪夫2田殿 武雄2 (1.東京大学、2.宇宙航空研究開発機構)

静止軌道は、その即時性、継続観測性の点から地球観測の観点から最も実用的な軌道である。これまで特に即時観測を必要とする災害観測や日毎の観測が必要だった農業などの分野では気象衛星を含んだ既存の観測衛星システムでは地表面分解能、あるいは即時観測性の観点から、観測要求を満たせなかった。その要因は主に技術的な課題にあった。ここではこれまで観測されたことがなかった10m程度の地表面分解能スケールでのオンデマンドな常時観測に期待できる新規観測成果の研究、および、このシステムを実現するキーとなる技術研究の状況について報告する。先の例に含まれる災害時の即時観測については東日本大震災に関する気象庁報告を参考にすれば、観測要求から観測データの配布まで30分以内を目処に完了する必要がある。取得される観測データは高分解能ではないが、被害規模や範囲を特定する目的に十分に適合し、更に詳細な調査・観測計画や緊急避難指示などを判断するのに不可欠な情報となる。災害時以外の平時の運用については、現在いくつかのプロダクトを検討中であるが、特に日毎の収穫時期判断が肝要である農業においては、低軌道周回衛星で問題となる被雲による観測不能な状況が、静止衛星観測により被雲の少ない画像が取得できる状況に大きく改善される。このことから平時についても特に時間変化の早い事象についてこれまでにない成果が得られる期待がある。また、技術研究状況については、本システムにおけるキー技術となる大型望遠鏡について、分割した軽量セラミック鏡による光波合成開口の基礎原理の確認およびActive/Adaptive Opticsに関する可動鏡の試作が衛星メーカとJAXAで取り組んでいる研究の中で進んでいる。 2020年度末までにこれらキー技術の開発見通しをつけるとともに、災害時以外の平時における観測案についてまとめを実施する予定である。