JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-01] 学校教育で使用されている地球惑星科学教材

2020年7月12日(日) 09:00 〜 10:30 Ch.2

コンビーナ:尾方 隆幸(琉球大学島嶼防災研究センター)、川手 新一(武蔵高等学校)、山本 政一郎(福井県立奥越特別支援学校)、根本 泰雄(立命館大学理工学部)、座長:尾方 隆幸(琉球大学島嶼防災研究センター)

09:45 〜 10:00

[O01-04] 地球惑星科学教材における古生物学の取扱いと、次世代型教材の提案

★招待講演

*芝原 暁彦1 (1.産総研発ベンチャー地球科学可視化技術研究所, 福井県立大学恐竜学研究所)

キーワード:古生物学、化石、オープンデータ

近年、古生物学に関するエポックメイキングな研究成果が相次いで発表されている。例えば始祖鳥は、走査型電子顕微鏡による分析で、メラノソームと呼ばれる細胞小器官の痕跡が化石から発見されたことにより、少なくとも一部の羽毛は黒色であった可能性が示唆されている。同様に、複数の羽毛恐竜でも部分的に羽毛の色が推測されており、これまでの復元図では推測で描くしかなかった古生物の「色」についても、極めて部分的にではあるが統一できる可能性があり、科学教育やアウトリーチ分野にも影響しはじめている。

 また日本各地における化石研究も精力的に続けられており、日本地質学会が2016年に作成した「県の石」リストでは化石の項目が設けられ、各県を代表する古生物が取り上げられるなど、国内における古生物の多様性を反映した教育コンテンツが続々と整備されている。こうした傾向を、今後の学校教材でどのように反映させていくかを考察したい。 

また地質標本館が所蔵する鉱物・岩石・化石の標本写真は、政府標準利用規約2.0にもとづき「地質標本データベース」として公開されており、出典元を示すことで教材としての柔軟な活用が可能となっている。こうした良質なオープンデータについての紹介と、実際の利用方法についても実例を交えながら紹介し、新しい地球惑星科学教材の可能性について幅広く議論したい。