JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-04] 高校生によるポスター発表

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(気象庁)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

[O04-P12] 地震の痕跡から紐解いた地質時代の大地震と多摩丘陵に眠る“未知の断層”存在の可能性

*福永 拓真1 (1.横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校)

キーワード:噴砂痕、砕屑岩脈、リーデル剪断

本研究では実地調査により神奈川県及び東京都多摩地域で見つかった噴砂痕・砕屑岩脈について、実地調査の結果から大きく分けて2つの推測を行った。噴砂痕・砕屑岩脈は液状化現象の痕跡として知られており、主に堆積岩層で見られる。近年の宅地造成による露頭の減少により当該地形の確認は5か所にとどまった。産状と位置関係、地層の堆積環境から、トリガーの推定を行い、地震であることが判明した。

1つ目の推測は、このトリガーとなった地震の実態についてであり、液状化現象が発生する震央からの距離の上限の関係式を用いて、発生地点、規模などを推測した。その結果、多摩丘陵付近で1.43Ma以降にM5.5以上の地震が、湘南地域で7.00Ma以降にM6.0以上の地震が発生した可能性があることが判明した。

2つ目の推測は実地調査で確認された雁行状に産する痕跡についてである。東京都狛江市の多摩川河床で複数の砕屑(シルト)岩脈が確認され、クリノメーターによる向きの計測と、GPSの位置データから岩脈の分布を調べた結果、平行に産していることが分かった。これはリーデル剪断という横ずれ断層の発生とともに見られる地形の可能性があり、ミ型の配列から左横ずれ断層によってもたらされたことが分かる。リーデル剪断の向きと横ずれ断層の運動方向の関係と、周辺の横ずれ断層の分布、方向とを照らし合わせた結果。その周辺にうまく該当する断層が確認されず、この痕跡が多摩丘陵付近にある未知の断層、もしくは静岡県の塩沢断層帯の一部の活動によってもたらされた可能性があるということが判明した。しかしながら、未知の断層があるならば、具体的にどこにあり、どの程度の規模の地震を起こすのか、塩沢断層の活動が原因であるならば、断層がどの程度動かないと岩脈が発生しないのかといったことは未だ推測できていない。これらの推測は今後の課題である。