JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

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[O-04] 高校生によるポスター発表

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(気象庁)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

[O04-P29] 電磁波による地震予知 ~被害地震の前兆捉えて減災の実現に~

*矢ヶ崎 旺輔1藤原 瑞穂1八島 舞花1竹田 昇吾1田中 阿育1 (1.東京都立多摩科学技術高等学校)

キーワード:地震、電磁波雑音

本研究は、 地震による前兆現象とされる電磁波放射を捉え、地震予知を可能にする。地震前兆による電磁波放射観測を捉えて、信号強度と継続時間、放射方向のデータの関係から地震のマグニチュード、震央の地域を予測する。また、被害地震に伴う前兆現象を通常の観測より見出すことを試みている。
 測定は、地表面から電離層間で発生する電磁波放射を2台の受信機で信号強度を1秒間隔に連続記録している。アンテナは、17m高に設置し無指向性と指向性アンテナを用い地域の特定の判定に使用する。信号強度データと落雷データ、電離層データ、太陽活動データ等を含め総合的に判断し、地震の前兆として決定する。また、東日本大震災時に発生した現象の基準レベル低下が、観測データに見出せるかを行う。
 本校での地震前に発生する電磁現象の観測は、8年目になる。先行研究に沿って、観測を続けているが、本学のすぐ隣をJR東日本の中央線が運行されていて、通常のマグニチュードが小規模の前兆が、判断し難いことも判明をした。電車による雑音であることは、毎日午前1時から午前4時までの間が、零近い値になっているので想定していたが、電車であると判断できたのは、昨年のJR中央線計画運休であった。日中においても、零に近い値を示していた。先行研究の新宿区内のデータと比較してみると、レベルの大きな信号については多くの点で、一致している。しかし、高レベル部分だけで、全体把握がされないので、規模の小さい地震の前兆は予想しがたい。新宿観測データと組み合わせれば、予測の率は上げることはできている。

 2015/9/12調布で震度5弱(M5.2)の地震は、以前発表しているが本校で信号レベルの上昇もあったが、無信号時の基準レベルも、変動していた。日本地震予知学会アブストラクトの東日本大震災時の記録を分析してみてみても、地震発生7日前に基準レベルの大きな低下(100mV程度)が起きている。本校観測点で1/14~1/21の間に、基準レベル低下(5mV)が起きている。新宿観測点では、1/31~2/1の間に、基準レベル低下(10mV)が起り、2/1午前2時7分発生の茨城で震度4(M5.3)が発生し、揺れが収まった時点で基準レベルが通常の値に戻っている。この現象は、観測地点での震度の影響がないと現れない現象でもある。
  本研究では、観測場所がJR中央線沿線で常時、低レベル信号(500mV程度)の放射は起こっている。新宿観測点の環境の良い信号レベルは得られてはいないが、マグニチュード規模の小さい地震の前兆を捉えられない。しかし、東日本大震災のデータを分析、検討しながら特徴を見い出し、常に観測結果の検証してゆく必要がある。特徴の1つである基準レベルの低下データは、1年あたり2,3回程度で低下レベルが5~10mV、これに対応する地震発生がある。著しく変化が現れたのが、2015/9/12調布(M5.2)地震だけであった。東日本大震災の新宿観測点データでは、大きく100mV低下がみられたので、被害地震の前兆に、本校観測データも大きく低下すると推測される。東日本大震災に起こった色々な電磁気現象を詳しく調査、利用できるデータを収集しながら被害地震を予知する。観測地点の違いで、信号レベル発生が時間軸的にずれが生じている。多くの研究者は、地震の震央地点から前兆信号が発生するとして考えているが、地殻変形が時間に伴って進行波として発生すると想定できる。仮説を立てるとすれば観測点近傍、もしくは、受信可能な地域の活断層などの地表面近くから発している放電による雑音と電荷の移動が地震の前兆として表れていると考える。
 通常観測低レベル(500mV)がJR中央線の計画運休で雑音源となっていることが、決定づけられた。低いレベルでの前兆現象は、観測できないとも考えてもよい。本観測点では、被害地震に着目して観測していくのがよいと考える。また、電車からの雑音の影響を受けにくい観測点を探す必要もある。予測の判定にAI(RNN:Recurrent Neural Network)導入していきたいと考えている。