JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-04] 高校生によるポスター発表

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(気象庁)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

[O04-P45] 流星電波観測における周波数(HRO・VOR-RO)と検知数の比較

*遠藤 空1、*齊藤 りお1、*佐藤 阿希1、*佐藤 幸1、*結城 さくら1 (1.宮城県古川黎明中学校・高等学校)

キーワード:流星

私たち宮城県古川黎明中学校・高等学校天文班は天文に関する研究を行っている。天文に関する研究に「天体観測」は絶対に欠かせない活動であるが,その観測には,大型の望遠鏡やCCDカメラを使うために通常で,専門の施設に移動しなければならない。また,主に夜間の活動となるため学校の部活動の時間帯に活動できない。さらに,これらの問題をクリアできたとしても,天候による影響が大きく,確実に観測できるわけではない。そこで,昼夜を問わず,雨天・曇天でも観測・解析を行うことができる,アマチュア無線の電波を使った流星の電波観測を試みた。

流星が出現すると流星の経路に沿って電離気体(プラズマ)が発生する。この気体が電波の反射体となり,ふだんは送信局からの電波が届かない観測地において,送信局からの電波を一時的に受信する。 HRO(エイチアールオー Ham-band Radio Observation)は、流星電波観測の観測方法の一つで,高校生からプロまで広く行われている。福井県立大学の前川公男氏が24時間体制で電波を発信している。発信地は福井県立大学である。超短波全方向式無線標識(ちょうたんぱぜんほうこうしきむせんひょうしき)は、VOF帯(超短波帯)の電波を用いる航空機用無線標識で,標識局を中心として航空機がどの方向にいるかを知ることができる。発信地は日本全国にあるほとんどすべての空港である。今回は福井HRO(53.755MHz)と小松空港VOR-RO(112.00MHz)の周波数の違う2種類の電波を使用し,周波数による流星の検知数の違いを比較した。なお,発信局の地理的条件や電波の受信地である宮城県古川黎明中学校・高等学校からの方角などの条件についてはほぼ同じである。

観測結果についてVOR-ROの観測画面に流星が検知されていてもHROの観測画面にはノイズのみが観測され,流星が検知できないことがあった。また,HROには雷によるノイズが観測され,流星が検知されないことがあった。2019年の11月に極大を迎えたおうし座流星群について集計すると,極大日付近ではVOR-ROのほうがHROよりも多くの流星を検知した。また,2020年3/10から3/20について集計するとVOR-ROのほうがHROよりも多くの流星を検知した。2019年5月から12月について月別に比較すると,5月から6月にかけてはVOR-ROのほうがHROよりも多くの流星を検知している。ただし8月以降12月にかけてはVOR-ROよりもHROのほうが多くの流星を検知している。 
考察と今後の課題についてである。スポラディックE層による影響で,VOR-ROに比べてHROの検知数が大きく減少した。5月から7月についてはVOR-ROの方がより多くの流星を検知できた。特に6月にはHROに比べて約45%ノイズによる影響が少なかった。一方で8月から12月まではノイズの出現も減ることから,HROのほうがVOR-ROよりも検知数が多くなった。以上のことから季節によって検知精度が異なるということが分かった。今後も観測を継続し,年間を通した観測結果からVOR-RO(112.00MHz)とHRO(57.755MHz)がそれぞれ季節ごとにどの程度ノイズの影響を受けるのか,最大でどれくらいの検知制度に差ができるのかをさらに追究したい。