JpGU-AGU Joint Meeting 2020

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[J] ポスター発表

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[O-05] 日本のジオパークから日本列島の成り立ちを知る

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、市橋 弥生(佐渡ジオパーク推進協議会)、今井 ひろこ(コムサポートオフィス/和歌山大学国際観光学研究センター)、小原 北士(Mine秋吉台ジオパーク推進協議会)

[O05-P16] 岩相解析に基づいた山陰海岸ジオパーク兵庫県北部エリアにおける2タイプの中新世火山体の復元

*松原 典孝1郡山 鈴夏2 (1.兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科、2.山陰海岸ジオパーク推進協議会)

キーワード:日本海拡大、岩相解析、中新世

京都府北西部から兵庫県北部,鳥取県北東部に位置する山陰海岸ジオパークのエリア内には広く中新統が分布している.特に,兵庫県北部を中心に分布する北但層群は日本海拡大開始~形成後までを記録した一連の地層からなり,日本海形成期のマグマティズムとテクトニクスを解明するうえで非常に重要な地層群である.従来,北但層群に関する地質学的研究は,一部を除いて層序学的なものに限られ(弘原海ほか,1966など),堆積環境や火山活動については十分に議論されず,その地質学的実態は未だ明らかにされていない.今回,兵庫県北部に分布する北但層群の砕屑岩類,溶岩類,火山砕屑岩類を対象に堆積相解析を行った結果,日本海拡大初期に2タイプの火山体が複数個所に存在することが分かった.

<兵庫県北部に分布する北但層群の堆積相>

堆積相解析の結果,砕屑岩類は主に,斜交層理やトラフ型斜交層理が発達し,しばしば上方細粒化を示す河川堆積物,河川堆積物と挟在する土石流堆積物,塊状で局所的に分布する崖錐堆積物,しばしば炭質物を含み一部でコンボリュート層理が顕著な湖沼堆積物および浅海~内湾成堆積物からなり,一部で貝化石や材化石,根痕化石,足跡化石が認められる.崖錐堆積物の中にはほぼ花崗岩の角礫のみからなり,楔状に分布するものも認められる.断層活動に伴って形成されたものと判断した.

火山岩類は溶岩および岩脈・岩床として産する.溶岩は陸上噴出のものと水中噴出のものに分けられ側方及び上方で火山砕屑岩類へ遷移する.

火山砕屑岩類は大きく自破砕溶岩や原地生ハイアロクラスタイト,ペペライト,陸上・水中火砕流堆積物等の初生的なものと,一度定置した溶岩類や火山砕屑岩類が浸食・崩壊等の二次的要因により再移動し堆積した多源的なタービダイト,陸上土石流堆積物,水中土石流堆積物,粒子流堆積物などのエピクラスティックな重力流堆積物,さらにそれらが河川流によって移動再堆積した河川堆積物に分けられる.ハイアロクラスタイトの多くは単源的だがジグソーフィット構造が発達せず一部弱成層するタイプでしばしば偽枕状溶岩を含む.Yamagishi(1987)に従い,水冷自破砕した原地性ハイアロクラスタイトが水中土石流や乱泥流,粒子流となって移動,堆積した再堆積ハイアロクラスタイトと解釈した.水中火砕流堆積物中には偽礫として弱成層した砂岩泥岩互層が含まれることがある.これは,安定した水底下に火砕流堆積物が高エネルギーで流下することにより取り込まれたものと考えられる.シート状溶岩の間に認められる赤色に酸化し弱成層し一部斜交層理の認められる火山砂岩や不淘汰な火山礫凝灰岩は火山活動の間隙に堆積した河川堆積物やラハール堆積物であると考えられる.

<2タイプの火山体>

タイプA火山:シート状の玄武岩質安山岩溶岩を主体とする火山体.直径数百m~数kmで同層準に広域的に求められる.シート状溶岩は複数枚累重し,シート状溶岩間に赤色に酸化したラハール堆積物や河川堆積物をしばしば挟有する.シート状溶岩上部及び下部にはクリンカーがしばしば認められ,一部でペペライトが発達する.同層準でありながら,地域的には,側方で原地性ハイアロクラスタイトや再堆積ハイアロクラスタイトへ遷移するものも認められるが,これは局所的に水域環境になっていたためと考えられる.

タイプB火山:安山岩の再堆積ハイアロクラスタイトを主体とする火山体.直径1㎞~数㎞で同層準に偏在して分布する.給源付近では給源岩脈やそこから側方へ遷移する原地性ハイアロクラスタイト,ペペライトがしばしば認められ,さらに側方で再堆積ハイアロクラスタイトに遷移する.しばしば偽枕状溶岩を含む.火山体縁辺部では細粒化し,タービダイトが卓越する.